ベッセント氏: 世界的な株価下落の理由はアメリカ大統領選挙

ジョージ・ソロス氏のSoros Fund Managementを運用していたことで知られるKey Square Grouop創業者のスコット・ベッセント氏が、株式市場が下落している理由について独自の見解を述べているので紹介したい。

世界的な株価下落の理由

ベッセント氏は今ソロスファンドを運用しているドーン・フィッツパトリック氏の前の前のCIOで、今では自分のファンドを運用している。

現在の株安については日銀の利上げが原因だとか、円のキャリートレードが理由だとか、色々なことが言われている。

だがベッセント氏は意外なことを言っている。彼は株価下落の理由について次のように述べている。

金融市場が不安定になっている理由は恐らく、共和党の大会のあと共和党が優勢になり、民主党はジョー・バイデン氏をカマラ・ハリス氏に置き換えたので、民主党の世論調査が盛り返したことだ。

だからハリス氏の人気に陰りが出れば市場は持ち直すだろう。

アメリカではトランプ元大統領の暗殺事件の後、トランプ氏の支持率が上がっていた。

それで民主党は高齢問題が出ていたバイデン大統領を候補から降ろさざるを得なくなった。

それは恐らく民主党にとっては良いことだったのだろう。バイデン氏を引き継ぐとされているハリス副大統領は、少なくとも討論さえまともに出来なかったバイデン氏よりも票を集めるだろう。

民主党は株価にマイナスか?

そして興味深いことに、ベッセント氏はそれこそが株価が下落している理由だと主張している。S&P 500は次のように推移している。

民主党が優勢になることは株価にとってマイナスなのだろうか? トランプ氏よりもむしろ民主党の政策の方がインフレ的だと指摘する声もある。

だがベッセント氏が気にしているのは税制である。大統領選挙では、トランプ氏が前政権で行なった減税が期限切れになりかかっており、それが更新されるかどうかが論点となっている。

ベッセント氏によれば、それが株価の上下を分ける重要な要素となる。彼は次のように述べている。

もし共和党が大統領と上院と下院をすべて勝ち取ることができず、民主党が上院か下院を抑えれば、共和党は減税や雇用促進を更新することが出来なくなり、歴史上最大の増税が実現してしまうことになる。

結論

期限切れとなりつつあるトランプ減税がどうなるかということは、投資家にとって重要な要素である。

しかもベッセント氏が指摘しているのは、トランプ氏が再選するだけでなく、共和党が上院と下院の両方を抑えなければ、減税が実現せず株価が下がる可能性があるということである。

筆者は今の株安の原因は日米の景気後退懸念だと考えているが、トランプ氏の経済対策が株価を回復させる可能性があると考えている点ではベッセント氏と共通している。

だが大統領の椅子だけでなく、上院と下院を両方取る必要があるとすれば、トランプ氏にとってのハードルは高くなる。

来月の討論会が大統領選挙の先行きを決めるだろうか。大統領選挙については引き続き報じてゆく。