失業率上昇で米国経済は景気後退の危機、7月雇用統計

先日発表された7月分のアメリカの雇用統計で失業率の悪化が発表され、それが株式市場やドル円に影響を与えている。

今回の記事では失業率を含む雇用統計の内容について解説してゆく。

危険水準の失業率

さて、渦中のアメリカの失業率だが、7月の失業率は4.3%となり、前月の4.1%から更に上がった。

グラフを見れば上がり方が急角度なのが分かる。

アメリカの失業率は前月の段階で既に危険水準に達していた。前月の記事で筆者は次のように書いている。

チャートを100年近くにわたって検証してみれば、失業率の上昇が前年との差で0.5%以上に達した場合、景気後退を逃れられたケースは戦後1度もない。

それが前月の水準だった。だが今回更に上昇したことで前年同月との差は0.8%となった。完全にアウトである。

一方で雇用統計のもう1つの重要指標である平均時給は前月比年率で2.8%の成長となり、前月の3.8%からこちらも減速となった。

平均時給はいわば労働の単価であり、企業にとってはコストが上がっているのか下がっているのかの指標になる。

平均時給はグラフの通り緩やかな減速を続けてはいるのだが、平均時給よりも消費者物価の方が減速が早い状況が続いている。

それがどういう意味かは企業の立場で考えてみれば分かる。コストは下がっていないが、商品の価格は減速しているのである。

つまり、利益が圧迫されている。

結論

ということで、前月の段階で既に危険信号を発していた雇用統計は今回更に悪化してしまった。

株価が下落しているのもそれが理由である。

景気後退が来れば株価がどうなるかについては、以下の記事で検証しておいた。

これまでの記事での予想通り、やはりアメリカ経済は弱った状態で11月の大統領選挙を迎え、そのまま次の大統領に手渡されることになりそうである。

勝者がトランプ氏になれば、この景気減速トレンドがインフレトレンドに逆転する可能性が高い。それがドル円の命運も握っている。