トランプ次期大統領: CIAを縮小する

アメリカの次期大統領に選出されているドナルド・トランプ氏は、アメリカの諜報活動を担うCIA(アメリカ中央情報局)を縮小することを計画している。WSJ(原文英語)が報じている。

トランプ氏とCIAの確執

トランプ氏とCIAは2016年11月の大統領選挙以来揉めていた。今回の報道はトランプ氏とCIAの軋轢の最中に出てきたものであり、もしトランプ氏がCIAを縮小しようとすればCIA側の強い反発が予想されるだろう。現状でCIAはこの報道に対するコメントを公式には拒否しているが、元諜報員によれば「彼らは激怒している」だそうである。

11月の大統領選挙で勝利したドナルド・トランプ氏だが、選挙中には対立候補だったヒラリー・クリントン候補の陣営のメールが多数流出しWikiLeaksによって公開されるという事態になっており、クリントン氏が公務中のメールを個人のメールサーバで管理していた(つまり政府から見えないようにしていた)件と合わせてトランプ氏勝利の流れに貢献したとされている。

結局クリントン氏は勝てなかった(理由は上記記事を参照)わけだが、負けた側は黙って負けたわけではない。クリントン氏および移民政策を支援していた著名投資家ジョージ・ソロス氏はアメリカ中で反トランプデモをでっち上げたが、CIAは上記のクリントン氏のメール流出は、トランプ氏を勝利させるためにロシアがハッキングによって行ったものであると主張していた。

ロシア側はCIAの非難に対し、こうした主張は根も葉もないことであり、CIAは何の証拠も提示せずにロシアを非難しているとして反発している。

トランプ氏自身は、既に行われたハッキングの犯人を後から特定することは技術的にほとんど不可能だとして、CIAは実際には誰がハッキングをしたのか分かっていないにもかかわらず、トランプ新政権に対するネガティブキャンペーンのためだけにこうした主張をしているのだとして批判しており、「彼らはイラクに大量破壊兵器があると主張していたのと同じ人々ではないか」と皮肉っている。

CIAは縮小されるか?

今回報道されたトランプ新政権によるCIA縮小計画は、明らかにこうした流れの結果として出てきたものである。WSJの記事はトランプ氏側の意見として「諜報の世界は完全に政治に染まってしまっており、縮小されるべき」とのコメントを伝えている。

また、トランプ氏は近日中に諜報当局から「ロシアのハッキングに関するブリーフィング」を受けることになっているが、この日程が遅延している。トランプ氏はTwitter(原文英語)で以下のように述べている。

諜報当局のいわゆる「ロシアのハッキング」に関するブリーフィングは金曜までずれ込むようだ。恐らくは状況をでっち上げるためにもっと時間が要るのだろう。とても奇妙だ!

トランプ氏とCIAの対立はかなり緊迫した状況に達している。続報があれば報じてゆく。