米国時間7月21日、アメリカ大統領選挙で与党民主党の公認候補となっていた現職のジョー・バイデン大統領が出馬取り止めを公式に表明した。
後任はカマラ・ハリス副大統領
遅かったのか早かったのか不明だが、これで民主党は他の候補で共和党のトランプ氏に挑むこととなる。バイデン氏自身は副大統領のカマラ・ハリス氏を推薦すると言っている。
正直目立たない人物なので日本の読者にはあまり知られていないかもしれないが、ハリス副大統領は黒人女性で、バイデン氏が間違えて「自分は黒人大統領に仕える初の黒人女性」と発言した時に自分と混同していたのがハリス氏である。(知らない人には意味不明だろうが、実際のバイデン氏の発言である。)
さて、メディアでも黒人女性ということが取り上げられているが、それは他に言うべきことがあまりないからである。だがほとんど棺桶に両足を突っ込んでいるバイデン氏でも良かったのだから、ハリス氏で悪い理由はない。
だからハリス氏が実際大統領候補としてどうなのか、投資家は現状のデータを確認しておくべきだろう。
世論調査
ということで最近の世論調査をいくつか見てみよう。まずバイデン氏がやらかした討論会の後、トランプ氏の暗殺未遂の前の世論調査である。
CNNの世論調査では、バイデン氏が6%差でトランプ氏に負けていたのに対し、ハリス氏は2%差だった。
Data for Progressの世論調査では、バイデン氏もハリス氏もトランプ氏に3%差で負けている。
また、トランプ氏の暗殺事件後の世論調査も見てみよう。
Reuters/Ipsosによる世論調査では、バイデン氏はトランプ氏に2%差で負けているが、ハリス氏は同点となっている(データ元は統計的に誤差の範囲としている)。
結論
世論調査を見るかぎりでは、ハリス氏はバイデン氏とさほど変わらないか、ハリス氏の方が多少有利といったところだろうか。
個人的な印象で言えば、これほど酷い状態にあるバイデン氏と変わらないとみなされていることはハリス氏にとって名誉なことではない。というか誰でもほぼ認知症の老人と変わらないとみなされたくはないだろう。
しかしそれはハリス氏がトランプ氏に勝てないという意味ではない。メディアでは黒人女性ということの他にアピールポイントのないハリス氏を批判的にとらえる論調があるが、それも関係ないと筆者は考えている。
何故ならば、民主党支持者は元から候補者など気にしていないからである。候補者を気にしながらバイデン氏を支持していたとすればそれは完全に異常だろう。誰でも良かったからバイデン氏がここまで候補としてやって来られたのである。
だから11月の大統領選挙はこれまでと変わらずトランプ氏vs民主党の構図となるだろう。トランプ氏が有利であることに変わりはないのだが。
しかし今回の件でのスターは、民主党の候補者がバイデン氏だけとなってからもバイデン氏の立候補を疑い続けたジェフリー・ガンドラック氏だろう。彼の発言を再掲しておく。
バイデン氏が再選のために本当に出馬するとは非常に信じがたい。
バイデン氏が討論できないことは誰もが知っている。彼が1時間半もの討論をどうやって出来るのか分からない。
ガンドラック氏の予想がほぼそのまま的中した展開となった。脱帽である。