トランプ前大統領: プーチン大統領は原油価格で操れる

11月のアメリカ大統領選挙で再選を目指すドナルド・トランプ前大統領がBloombergのインタビューでロシアとウクライナについて語っている。

トランプ政権とウクライナ情勢

大統領選挙は様々な話題が論点となっているが、トランプ氏の主張の1つは、ウクライナ情勢はトランプ政権時にだけ悪化しなかったというものである。

トランプ氏は次のように言っている。

わたしが大統領の時にはプーチン氏は決してウクライナに侵攻しようとはしなかった。ウクライナに手を出すなとわたしが言っていた。

ウクライナではオバマ政権下の2014年にアメリカとEUの支援した暴力デモ隊が当時のウクライナの親露政権を選挙なしで追い出したマイダン革命が起こり、ロシアはそれに対する返答としてクリミア半島を併合した。

その後ウクライナにはアメリカの外交官ビクトリア・ヌーランド氏が決めた親米政権が樹立されている(ロシアのプロパガンダだと思う読者はヌーランド氏について自分で調べてみると良い)。

そしてトランプ政権の2017年から2020年まで、ロシアがウクライナに対する影響力を拡大させることはなかった。だがバイデン政権になった2022年、ロシアはウクライナに侵攻した。

プーチン氏が戦争を決めた理由

2022年のウクライナ侵攻についてはトランプ氏は以下の記事で詳細を語っている。

だが今回の要点は何故ロシアはトランプ政権下では大人しくしていたかである。

トランプ氏は次のように語っている。

ウクライナ情勢は酷いものだが、原因の一部は原油だ。

原油価格が40ドルから100ドルまで上がれば、プーチン氏は戦争が出来るようになる。原油価格が40ドルだったからプーチン氏はわたしの言うことを聞いた。

戦争にはお金がかかる。ロシアは資源大国だから、戦争費用を賄うためには原油を含む資源価格が高く推移する必要がある。

だがバイデン大統領は化石燃料の生産を減らす脱炭素政策で、自国の産油企業にダメージを与えた上に原油価格を上昇させてプーチン大統領に塩を贈ったのである。

トランプ政権からバイデン政権までの原油価格のチャートを見ると次のようになっている。

確かにトランプ政権時の方が一貫して原油価格が低い。バイデン政権では金利が大幅に上がっている(原油価格の押し下げ要因)ことも考えれば、今の原油価格は実際にはかなり高いと言うべきだろう。

ウクライナ戦争を終わらせるために

トランプ氏はウクライナ戦争を1日で終わらせることを公約にしている。

そしてそのために中心的役割を果たすのは原油価格らしい。トランプ氏は次のように言っている。

戦争を終わらせたいとしても原油価格が100ドルの状態では戦争は終わらせられない。原油価格が100ドルなら、プーチン氏にとって戦争を終わらせるインセンティブは小さいからだ。

だからトランプ氏は原油価格を押し下げると言っているのである。彼に出来ることは、まずバイデン氏によって実行された脱炭素政策を取り除き、国内の産油企業に原油を生産させることだろう。

それはアメリカの産油株にとってもプラスになる。

このBloombergのインタビューはトランプ氏が金融市場についてどう考えているかを教えてくれる。原油価格とドル円の下落は、トランプ氏にとって急務のようである。