ミレイ大統領: 多様性やSDGsは強要の文化である

引き続き、アルゼンチン大統領でありオーストリア学派の経済学者であるハビエル・ミレイ氏のMilken Instituteにおける講演である。

自由主義者ハビエル・ミレイ氏

ミレイ氏は財政支出と紙幣印刷のやり過ぎでハイパーインフレと通貨暴落を経験したアルゼンチンの大統領に選出された経済学者である。

そのミレイ氏は前回の記事で政府による無節操な支出を批判していた。

その理屈は、どういう商品やサービスにお金が支払われるのかは政府ではなく消費者が決めるべきだというものだった。そうでなければ消費者が見向きもしない不要なものが山積みになってしまう。

それはいわば、経済にどのような商品やサービスが存在するべきかを政府が決める社会制度であり、それは程度の違いはあれ共産主義の一種である。

現代西洋における共産主義の文化

共産主義の本質は国民ではなく政府が決めるということである。そしてミレイ氏によれば、その共産主義的なイデオロギーはインフレ主義的な経済政策だけではなく、西洋諸国の文化や教育にまで及んでいる。

それは多様性や環境問題などにおける左派的なイデオロギーである。ミレイ氏は次のように説明している。

企業やマスコミ、教育、そしてエンターテイメントの世界にまで浸透している自己抑圧的な文化が存在する。

それは直接的であれ間接的であれ、様々な形を取った強要の文化であり、政府によって強制され、ジェンダーや人種問題や環境問題などの倫理的問題とされる問題について服従しない個人は迫害される。

特に欧米諸国では、こうした問題に対して多数と同じ反応を返さない個人は迫害される。

最近ではそういう左派のイデオロギーに嫌気が差した人が増えてきて、そうでない人の人権もある程度戻ってはいるのだが、少し前までドイツなどでは二酸化炭素のために風呂に入らないなどということが真面目に議論されていた。

また、人種問題に関して言えば、ハーバード大学などが黒人学生などを優先するために人種ごとに入学者の人数を決めていた件で、優秀なアジア人学生が人数制限のために他の人種の学生よりも不利な状況に立たされるという人種差別的な状況が発生していた。

人種差別に反対する人々のせいで学生が人種差別に遭うというほとんどジョークのような状況だったのだが、ミレイ氏は次のように述べている。

こうした考えは多様性のために人間の長所を罰し、政治的に過敏な一部の人々に気を遣うために自由なアイデアの交流を妨げる愚かさに繋がっている。

結論

日本人はアメリカやヨーロッパでは同調圧力が少ないと思っている人が多いが、とんでもない間違いである。政治的に同調しなければ迫害されるようなことは日本では起こらない。

だが欧米諸国ではそういう状況が長らく続いている。ウクライナなどの問題も同じような立ち位置にあるが、ハマスとイスラエルの問題が勃発してからは西側が支持する側が必ずしも正義ではないことがようやく明らかになりつつある。