コロナ後のインフレもある程度収まり、アメリカでは利下げも議論されている中、エネルギー資源や農作物などのコモディティ銘柄がかなり下落しているので一度各銘柄のチャートを確認しておきたい。
コロナ後のインフレとコモディティ
コモディティ銘柄はコロナ相場の初期には花形だった。インフレとはものの値段が上がることだから、すべての製品の原材料であるコモディティ銘柄はインフレ相場では相場の中心にあった。
筆者は2020年の段階でコモディティ価格が上昇していたことに着目し、コロナ後の現金給付による物価高騰に警鐘を鳴らしていたことを覚えている読者もあるだろう。
だがその後世界中の中央銀行が利上げをしたことで、インフレ率は落ち着きを取り戻しつつある。
それでインフレ相場でもてはやされたコモディティ銘柄は数年前ほどは注目されなくなっている。
農作物の長期チャート
だからあまり価格に注目していない読者も多いだろう。だがこの記事ではコモディティ価格がかなり下がってきていることを一度指摘しておきたいのである。
特に下がっているのは農作物である。まずは小麦から取り上げよう。小麦先物の長期チャートは次のようになっている。
小麦はロシアとウクライナが主要な生産国であり、2022年のロシアのウクライナ侵攻で価格が高騰したことで知られる。
だがその後インフレは収まり、その時の高値の半分以下の水準まで落ちてきている。
小麦を最初に挙げたのはエネルギー価格との連動がない農作物の代表だからで、大豆やコーンなどバイオ燃料の原材料になり原油価格などに連動する銘柄はまた分けて考えるべきだからである。
だがコーンの価格もかなり下がってきている。
大豆はまだもう少し高いだろうか。
上昇する原油、下落する天然ガス
コモディティ市場で特に下がっているのは農作物で、例えば原油価格などはそれほど下がっていない。以下は原油価格のチャートである。
だが一方で天然ガス価格はかなり下がっている。
結論
上記のように、コモディティ価格はインフレ相場を経てかなり安い水準まで下がってきている。
今後のコモディティ価格の推移は、もちろんインフレがどうなるかということにかかっている。筆者の予想では、11月のアメリカ大統領選挙でトランプ氏が勝利すれば相場はインフレ・高成長相場へと突入するというものである。
だがインフレ相場に賭けるのであれば、今回主に紹介した農作物よりも金属価格や金利の上昇に賭けるトレードの方がスマートだろうと考えている。
しかしそれでも農作物の価格が下がってきていることには注目しておきたい。特に日本円の長期的信認が信じられない日本の読者にとっては役に立つだろう。
筆者も当然日本円は長期的には駄目だと考えている。日銀の植田総裁もこの問題を解決できないだろう。
だから資産を円のまま置いておいてはならない。だがインフレ相場における株式のパフォーマンスは悪く、ドル預金もゴールドなどに比べると長期的に価値を失っているのである。
そこで老後の資金を蓄える手段として、円やドルではなく農作物の先物やETFを長期的な安値にある内に買い、それで資産を蓄えておくことを推奨したいのである。
上のチャートはすべてドル建てのチャートで、ここの記事ではいつもドルベースで物事を考えているが、この場合は当然円建てで考えるわけである。
仮にドル建てで農作物の価格が上がらなくても、円安になればその分は日本の投資家にとっては円安のヘッジになる。また、ドル建てでも超長期的にはドルの毎年のインフレを織り込んで、どの銘柄も価格が上昇している。
ドルのパフォーマンスも長期的には信用できない以上、どうやって貯金するのかということは投資の専門家にとっても難題である。
しかし農作物の長期投資は1つの選択肢になるのではないか。コモディティ投資については、やや古い本ではあるがジム・ロジャーズ氏の『商品の時代』も参考にしてもらいたい。
商品の時代