世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏がバイデン氏の高齢問題で混乱を極める今年のアメリカ大統領選挙について自身のブログでコメントしている。
バイデン大統領の乱心
先日行われたバイデン氏とトランプ氏の大統領選挙討論会以後、与党民主党は大混乱である。何故ならば、以前から問題になっていたバイデン氏の認知能力の問題が明らかになってしまったからである。
バイデン大統領は討論のなかで「われわれはついに医療制度を打ち倒した」という意味不明の発言をした。
その後バイデン氏は自分は大丈夫で大統領選挙に立候補し続けると主張したが、認知力テストは拒否し、更にはラジオ番組で自分のことを「黒人の大統領とともに働いた最初の黒人女性」だと主張した。
民主党指導部の罪
もう無茶苦茶である。そしてダリオ氏は何より民主党の指導部を責めている。
ダリオ氏は次のように言っている。
民主党指導部は、バイデン大統領の認知能力が急激に悪化していたことを隠し、それがバレた時には「問題ない、バイデン大統領が再選を目指すのが最良だ」と国民に言ったことで、誠実さと判断力の点で信用をひどく損ねたと言える。
民主党内ではバイデン氏を候補者から外すべきだという主張が出ているが、バイデン氏自身は席を譲るつもりはないらしい。
どうもバイデン氏の状況は運転免許証を返納しない老人の問題を思い出させる。というかそういう問題そのものだろう。本人は辞めたがらない。
民主党の3つの選択肢
この状況で民主党は何が出来るのか。ダリオ氏によれば3つの選択肢があるという。
ダリオ氏はまず最初の選択肢について次のように述べている。
これはバイデン氏の状態が衆目に晒される前のプランで、まだ民主党が公に固執しているプランだが、バイデン大統領は大丈夫だと主張し続けることだ。
実際民主党は、特に大統領の周囲の人々はそうしている。
だがダリオ氏はその戦略は現実的ではないと考えているらしい。ダリオ氏はこう続けている。
民主党の人々は今、バイデン氏が10時から16時までは大丈夫だと主張しているが、彼らはそれが時間経過とともに悪化する可能性には触れていない。
そんな態度は明らかに馬鹿げており、アメリカ国民の知性に対する侮辱ですらある。
大体、6時間しか働けないのではパートタイムの大統領ではないか。現実には彼はほとんど何も決めていないのだろう。
では他の選択肢はどうか。ダリオ氏は2つ目のプランについて次のように述べている。
他の候補者たちに討論をやってもらう。わたしがミニ予備選と呼ぶプランで、大統領選挙で勝てる確率は恐らく下がるだろうが、アメリカ国民はリーダーと自分たちの道筋を自分で見て決めることができる。
バイデン氏以外の民主党の候補者をもう一度決めるということである。
問題はそれでトランプ氏に勝てるのかということだろう。もう第一回討論会も終わったのにこれから候補者を決め直すというのは、明らかに混乱した感が否めない。
だからダリオ氏はより混乱の少ない第3のプランについて次のように述べている。
バイデン大統領は候補者としての指名をカマラ・ハリス氏(訳注:副大統領)に譲る。わたしが戴冠式プランと呼ぶ案で、国民ではなくバイデン氏とその周囲がハリス氏に王冠を与える。
ミニ予備選よりスムーズだが国民が討論を聞いてどういう道があるかを知り、候補者を自分で選ぶ機会はなくなる。
民主党はどうするべきか
ダリオ氏は今の状況について次のように言っている。
現在の状況は裸の王様の童話のようで、王様が裸で外出しているところを皆が目撃した時にどうしたのかの話を思い出させる。
童話の示す教訓はこうだ。現実を認めて出来る限り最良の方法で前に進むのが良い。
ダリオ氏のコメントは冷静に見えてなかなか強烈なところがある。民主党の人々は今、現実を認めていない。
ダリオ氏は3つの選択肢を示したが、彼自身はどれが一番良いと思っているのか。
ダリオ氏はこう述べている。
個人的にはミニ予備選プランが一番良いと思う。
そして一番重要なのはここだろう。ダリオ氏はこう言っている。
どのプランを選ぶとしても、民主党は現実を認める必要がある。
バイデン氏は次の任期を全うすることはできない。