ゴールドを推奨するジム・ロジャーズ氏、金の延べ棒を嫌う理由を語る

ジョージ・ソロス氏とともにクォンタムファンドを設立したことで有名なジム・ロジャーズ氏がSoar Financiallyのインタビューで金投資について語っている。

アメリカの債務危機

コロナ以来の金利上昇でアメリカの莫大な政府債務に多額の利払いが発生し、機関投資家たちはアメリカの財政問題を大いに気にしている。米国政府は国債の利払いのために国債を発行する状態に陥っているからである。

レイ・ダリオ氏によれば、この問題は最終的には紙幣印刷や中央銀行の破綻などの方法によって解決される。

そこで起きているのが貴金属への資金逃避である。今年に入ってから金相場は上昇している。

レイ・ダリオ氏によれば、金価格上昇の理由の1つはアメリカの債務問題である。

ゴールドへの資金逃避

さて、貴金属と言えばロジャーズ氏だろう。『商品の時代』というコモディティ市場の解説書も書き、政府の紙幣印刷に対抗するためにゴールドやシルバーを保有し続けていることで知られている。

ロジャーズ氏は次のように述べている。

わたしはもう何年もゴールドを買い続けてきた。買ったゴールドを売ったことはない。

ただ、今回問題となっているのは保有の方法である。ロジャーズ氏はよくインタビューで保有している金貨や銀貨を見せているが、保有するすべての貴金属を現物資産として持っているわけではないだろうから、ETFなども使っているのだろう。

ただ、ロジャーズ氏は金の延べ棒だけは買わないという。彼は次のように述べている。

金の延べ棒は持っていない。金塊を店に持っていくと、「ゴールドのように見えるが本物か?」と言われるからだ。そんなやり取りをする時間はない。

ゴールドであることを証明する方法

ロジャーズ氏はその理由で金の延べ棒より金貨や銀貨を好んでいるらしい。

ただ、確かにそれは面倒な問題である。金の延べ棒が内部まですべて純金であることをどう証明するのか? 金属の材質を調べるために一般に使われるのは蛍光X線分析だが、このやり方では表面の材質しか調べることはできない。

体積と重さを使って比重を出す方法はあるが、内部をゴールドと同じ比重の合金にして表面をゴールドでコーティングしてしまえば比重は同じになる。

投資家はETFを使って簡単にゴールドやシルバーを取引しているが、ETFにも有事に本当にゴールドを引き出せるのかという問題はある。

だが現物のゴールドにも、それが本当に全部ゴールドなのかという問題があるのである。

そしてレイ・ダリオ氏の危惧するようにウクライナやパレスチナの戦争が世界大戦への序章に過ぎないのであれば、そうした問題が投資家にとって本当に問題になる日がやってくることになる。

筆者はゴールドの鑑定の専門家ではまったくないのだが、この問題を解決する方法はあるのだろうか。投資家には勉強しなければならないことが山積みである。


商品の時代