ガンドラック氏: 米国のインフレ率は年内に2%台まで下がる

DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏がCNBCのインタビューで最新のアメリカのインフレ統計にコメントしている。

最新のインフレ統計

今週発表されたCPI(消費者物価指数)統計は、インフレの減速を示すものだった。

インフレ率は今年の序盤には強く出ていたが、今回のデータは弱く、その直後に行われたFed(連邦準備制度)のFOMC会合でパウエル議長はそれを好感したコメントを出していた。

米国のインフレ動向

とはいえ最新のインフレ統計は1ヶ月のデータである。インフレは長期的に収まってゆくのか。

ガンドラック氏はインフレ統計について次のように分析している。

コアCPIから建物を取り除けば2%のインフレになっている。そして建物のインフレは下がってきている。

コアCPIはエネルギーと食品を除いた物価である。そこから更に建物を取り除くとインフレ率は2%になるという。

ならばあとはエネルギーと食品と建物のインフレさえ収まれば、アメリカのインフレ率は2%に戻ることになる。

だからガンドラック氏は次のように続けている。

また原油価格が下がればインフレは更に弱まるだろう。

原油相場のファンダメンタルズがどうかは分からないが、大統領選挙が近づくにつれて原油価格は下方圧力に晒されるのではないかと疑っている。

11月のアメリカ大統領選挙が近づいている。1つの争点はエネルギー政策である。バイデン大統領が脱炭素政策で自国の産油企業の首を絞めたのに対して、テキサスを味方にしているトランプ氏は明らかに産油企業に友好的である。

トランプ氏が優勢になればアメリカの産油企業はより多くの原油を産出できることになる。それは原油価格にとって下方圧力になるだろう。

インフレ統計の季節性

ガンドラック氏は更にインフレがここから下がってゆく根拠を挙げているのだが、これがまた興味深い主張である。彼は次のように説明している。

インフレ統計には季節性がある。季節調整済みのデータだから季節性があるとおかしいのだが、過去14年間のうちほとんどの年で第1四半期がもっともインフレが強い四半期で、その次が第2四半期で、年の後半はそれよりも弱い。

今年のインフレ統計は序盤に強く、5月になってようやく落ち着いてきた。ガンドラック氏はそれが季節要因だと言っている。CPI統計などの季節調整が上手く行っていないことは、金融市場では度々問題になる要素である。

更に、そう考えれば去年Fedを喜ばせたインフレ減速も説明がつくとガンドラック氏は考えている。彼は次のように続けている。

去年11月1日にFedは直近3ヶ月の年率データを使ってハト派に転換したが、その時彼らはこの事実を見逃していた。

つまり、Fedは季節的に弱い年後半のインフレ統計を見て去年11月に利下げを示唆したが、その後今年の序盤のインフレ率は高くなってしまったので戸惑ったということである。

結論

ということで、ガンドラック氏は次のように結論している。

そしてこの季節性はこのまま続く可能性が高い。

今年の残りの期間、CPIのインフレ率は2.5%から2.75%くらいに収まると考えている。

インフレに関しては再加速を懸念する声もあり、著名投資家でも意見が割れている。

だがガンドラック氏は高金利はアメリカ経済に十分効いているという立場である。

景気後退が近いのだろうか。