Universa Investmentsのマーク・スピッツナゲル氏がReutersによるインタビューでFed(連邦準備制度)の金融政策について語っている。
利下げと株式市場
市場では引き続きアメリカが利下げできるのかということが問題となっている。
金融市場は元々今年6回の利下げを織り込んでいたが、今ではたった1回の利下げ織り込みとなった。しかも利下げどころか利上げの可能性さえ議論されている。
だが多くの投資家が共通認識にしていることがある。利下げは株価にとってプラスだということである。
スピッツナゲル氏はそこに疑問を差し挟む。利下げを求める株式投資家たちに対して彼は次のように述べている。
投資家は自分が何を求めているのかを考えた方がいい。
アメリカが利下げする場合
スピッツナゲル氏は、金利の低下が株価に及ぼす影響自体を疑っているわけではない。だが、Fedが利下げする状況とはどういうものかを考えてみるべきだと言っているのである。
スピッツナゲル氏は次のように続ける。
人々はFedがハト派で利下げに向かっているのを良いことだと考えている。
だがFedが利下げをするのは実体経済の景気後退入りが明らかになった時で、市場が崩壊してゆく中パニックになりながら利下げすることになるだろう。
今年の市場の利下げ期待を考えてみてもらいたい。市場は大幅な利下げを期待していたが、今ではそれが起こりそうにないということになっている。
それは何故かと言えば、インフレが収まっていないからである。
筆者が年始から指摘していたことだが、株価が上昇を続けていたということ自体がインフレが収まっていないことを物語っている。インフレが収まるのであれば株価は下落する。
だが多くの株式投資家が望んでいたのは株高と利下げだ。しかしそれは矛盾している。
株高であればインフレ継続なので利下げはない。株安で利下げなのであれば、前提からしてそもそも株式投資家たちの望む状況ではないのである。
結論
だから株式投資家が望むべきなのは利下げではなく、むしろ利上げを行わなければならないが株価を崩壊させるほどの利上げではないような状況だ。それが3月までは起こっていたのだが、4月に市場がインフレの現状を自覚してそれは終わった。
インフレが収まるのであれば株安、インフレが収まらないのであれば、利上げの必要性を自覚するまでの一定期間株価は上昇できる。だが最終的には利上げが起こってその株価上昇分を奪い去るだろう。
だから年始の記事で今年の米国株は横ばいだと言ったのである。
だから株価が上昇する場合も一時的で、最終的には下落することになる。
だがそれまでに株式市場はどれだけ生きながらえることが出来るだろうか。今後の相場見通しについてスピッツナゲル氏は次のように述べている。
今のように金利を正常化した場合、その効果が現れるまでにはタイムラグがある。
このバブルが終わるまでに市場がもっと熱狂的になる瞬間が来るだろう。
利下げはまだだということである。それは良かったのか悪かったのか。