ジョージ・ソロス氏とともにクォンタム・ファンドを創業したことで有名なジム・ロジャーズ氏がNomad Capitalistのインタビューで最近の日本株の上昇について語っている。
ロジャーズ氏の日本経済見通し
著名なヘッジファンドマネージャーは皆そうだが、ロジャーズ氏もその例にもれず政治家による金融緩和には批判的な立場である。それが長期的にはインフレと増税に繋がると知っているからである。
そして日本は世界でもっとも緩和的な金融市場だった。コロナ後のインフレにもかかわらず、日本だけが長らくインフレ政策を続けていた。最近植田総裁がその一部の後始末をした。
だからロジャーズ氏は日本の経済政策に批判的で、日本経済に悲観的な著書も多数出版している。何故日本批判の本が多いのかと言えば、ロジャーズ氏は別に日本批判を書きたいわけではないのだが、日本の出版社から是非書いてくれと頼まれるという。
『捨てられる日本』などのロジャーズ氏の著書では、日本政府がいかに日本国民から搾取しているか、日本円の下落が国にどういう悪影響を及ぼすかを語っている。
ロジャーズ氏の日本株推し
だが一方で、ロジャーズ氏は長らく日本株の上昇を予想してきた。最近の欧米の投資家の日本株推しのような1年や2年の話ではなく、ロジャーズ氏はもっと前から日本株を推していた。
彼は次のように語っている。
日本株は東日本大震災の頃から保有していた。
東日本大震災のあった2011年と言えば、バブル崩壊後の日本株のほとんど底値である。日経平均の長期チャートは次のようになっている。
災害で株価が下がった時に買うというのはロジャーズ氏らしい逆張りであり、それが長期的にも奏功した形となる。
ロジャーズ氏が長らく日本株を推してきた理由は単純で、インフレにもかかわらず金融緩和を続け、しかも株式を買い入れていたような中央銀行を持つ主要国は日本くらいだからである。中央銀行が紙幣を印刷して株を買えば株価は上がる。国民の生活は円安でむしろ悪化しているが。
そして日本株がバブル崩壊前の最高値に近づくにつれ、ロジャーズ氏は日本株が最高値を行進すると言い続けてきた。
しかし残念ながらロジャーズ氏は日本株を高値更新前に売ってしまったそうだ。彼は次のように続けている。
だが、恥ずかしながら白状するのだが、少し前に売った。日本株は最高値を更新すると言い続けていたにもかかわらずだ。しかし弱気になった時に売ってしまった。愚かなことだった。
日本株の見通し
史上最高値を更新した日本の株式市場はこれからどうなるのか。ロジャーズ氏は次のように述べている。
わたしは馬鹿だったが、それでも日本株は上がり続けると思う。
日本株は35年も下がったままだった。それは驚くべきことだ。
ロジャーズ氏だけでなく、多くの欧米の投資家たちが日本株に注目している。
日本人から言わせれば、社会保険料と所得税と住民税と消費税で所得の大半が持っていかれる国の経済の何処に希望があるのかと思うのだが、外国人はそうは思わないらしい。
彼らはNISAに大量の資金が流れていることなどを理由に上げている。ロジャーズ氏は次のように続けている。
35年も経って日本株がようやく上昇していることには多くの理由がある。売ったのは馬鹿だった。もう少し上がり続けると考えているからだ。
捨てられる日本