DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏が自社の動画配信で米国株に関して微妙なコメントを残している。
上昇する米国株
米国株は上昇を続けている。S&P 500は次のように推移している。
Fed(連邦準備制度)のパウエル議長は利下げを予告しており、しかもマネタリーベースも拡大しているのだから、アメリカは実際には金融緩和サイクルにいるのである。
割高な米国株の見通し
唯一の懸念は、1株当たり利益から計算すれば株価が歴史的な割高水準にあることである。
だが割高な株が上がり続けることはよくある。ファンダメンタルズはその銘柄の長期的なパフォーマンスを語るものの、上昇や下落のタイミングを語るわけではないからである。
それは逆に言えば、長期投資であればファンダメンタルズを気にしなければならないということなのだが、今はタイミングの話に集中しよう。
現在の株式市場についてガンドラック氏は次のように言っている。
今の状況は1999年に似ている。1999年、第3四半期の終わりに株価は今よりも更に割高だった。しかし米国株、特にNASDAQはそこから80%上がった。
ガンドラック氏はこれまでアメリカ経済に弱気の見方だったが、バブル前の相場と同じとは米国株に対してなかなかの評価ではないか。
しかし勿論これには裏がある。ガンドラック氏はこう続けている。
しかしそれは1999年9月30日に株を買っておくべきだったという意味ではない。何故ならば、2000年9月30日までに株価は天井から85%下がったからだ。
当時のNASDAQ 100のチャートは以下のように推移している。
結論
ガンドラック氏は次のように纏めている。
新たにアグレッシブなポジションを作るような場面ではない。
米国株よりも日本株やインド株の方がよほど快適だ。
恐らくこの話から得られる教訓は、投資家は自分の投資期間がどれくらいかを考えるべきだということではないか。
もし長期の投資家であれば、今年どれだけ上がるか、あるいはどれだけ上がっているかということは大した意味を持たない。結局長期的なパフォーマンスは1株当たり利益とインフレ率と金利水準によって決まり、それ以上の過度な上昇はガンドラック氏が示した例のように長期的には同じ分の下落によって相殺される。
だが短期的にトレードする投資家にとっては別の話である。筆者も個別株の買いはプットオプションでヘッジしながら続けているので、そこから本格的な売りに切り替えるためにはタイミングが重要になる。
だから失業率やクレジットカードの返済遅延率などのデータを毎月チェックし、GDPが減速する前の兆候を常に集め続けている。
一方で、ガンドラック氏の言うように他の国の株式に行くのは一番取りやすい戦略である。アメリカのヘッジファンドマネージャーらの間ではそれが流行りのようだ。