世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏がLinkedInのブログで米国株のバリュエーションについて語っているので紹介したい。
マグニフィセント・セブン
米国株は去年の終盤から大きく上昇している。その中でも特に注目されているのがマグニフィセント・セブンと呼ばれる7銘柄である。
マグニフィセント・セブンにはAlphabet、Amazon.com、Apple、Meta、Microsoft、NVIDIA、Teslaが含まれている。
ダリオ氏は次のように述べている。
いわゆるマグニフィセント・セブンの株価上昇は、去年の米国株上昇の大きな部分を占めている。これらの銘柄の時価総額は2023年1月から80%以上上昇し、今やS&P 500の時価総額の25%以上を占めることになっている。
7銘柄で指数全体の4分の1だということである。
マグニフィセント・セブンはバブルか
これらの銘柄は、銘柄にもよるが、去年大きく上がったものが多い。例えばAmazon.comの株価は次のようになっている。
こうした銘柄の株価上昇はバブルなのか。ダリオ氏は次のように述べている。
われわれの計算ではマグニフィセント・セブンは多少バブルの気配がし始めているが、本当のバブルになっているとは言えない。
1株当たり利益の実績値と予想値を考えるとバリュエーションはやや割高で、投資センチメントは過熱しているが行き過ぎとは言えない。そして過剰なレバレッジの使用や素人投資家の大量流入(などのバブルの兆候)は見られない。
銘柄にもよるが、マグニフィセント・セブンが他の米国株の銘柄と比べてとりわけバブルであるという見方は出来ないと筆者も見ている。
マグニフィセント・セブンの中でどれが割安か
では、それぞれの銘柄の現在のバリュエーションはどうなっているのか。
例えば、マグニフィセント・セブンの中でも飛び抜けて株価が上昇した銘柄はNVIDIAである。
NVIDIAの今年の株価上昇が始まった日に、筆者は次のように書いておいた。
一般には高いとされることの多いNVIDIAの株価水準だが、筆者はむしろかなり割安だと何度も主張してきた。
ただ、株価上昇後の株価水準については後に次のように書いておいた。
有り得ないほどの割安水準ではなくなったので、短期的な推奨はここまでとしておこう。半年ほどで60%もの利益をもたらしてくれた非常に良い投資だった。
但し長期投資としては未だに有効である。長期見通しについては以下の記事を読んでもらいたい。
また、マグニフィセント・セブンに関するダリオ氏の評価は次のようなものである。
われわれはAlphabetとMetaは多少割安で、Teslaが多少割高だと見ている。
Teslaに関してはアメリカで電気自動車のシェア拡大が失速しており、それが逆風になる可能性がある。やはり充電に時間がかかり過ぎるのではないか。
割安とされた2銘柄は、AIに必要不可欠なGPUを作っているNVIDIAとは違い、AIブームに出遅れた銘柄なので、割安になっているとも言える。
ダリオ氏は米国株全体の株価水準についても意見を述べているので、そちらも参考にしてもらいたい。