AI銘柄の筆頭であるNVIDIAの株価が物凄い勢いで上がっている。NVIDIAの製造するGPUがAIの計算処理に必須だからである。
割安だったNVIDIA株
ここの記事では米国株全体が歴史的な水準で割高だということを何度も言い続けている。
多くの著名投資家も同じ意見であり、彼らは日本やインドなど別の国の株式を買ったり、米国株でもS&P 500など市場全体を買わずに特別有望な個別銘柄を選んで買ったりしている。
さて、個別株としてここで何度も取り上げてきた銘柄にNVIDIAがある。NVIDIAに関しては、有望だが割高という一般的な評価とは逆に、むしろ有り得ないほど割安な銘柄として長らく紹介してきた。
NVIDIAのバリュエーション
10月の記事時点でのNVIDIAの株価収益率は100倍を超えていた。
何故それほどまでに株価収益率の高いNVIDIAを割安だと考えたかと言えば、NVIDIAが高成長銘柄だからである。
株価収益率は株価を1株当たり純利益で割ったものだが、それはつまり利益が急上昇すれば株価収益率は急降下することを意味する。
そしてAIの計算処理のために必須のGPUを製造するNVIDIAの1株当たり純利益は物凄い勢いで増加している。1月の記事では、利益増加によってNVIDIAの株価収益率には来年には25.6倍と市場平均とほとんど変わらない水準にまで下がるということを指摘し、新商品発表という材料で株高となっていたNVIDIA株について次のように書いておいた。
もう何度も説明しているが、このバリュエーションはおかしいのである。
新製品自体は何の驚きでもない。AI銘柄であるNVIDIAがAI向け製品を出すことに何の驚きがあるのか。今回の株価上昇は、単に新製品がきっかけとなって元々割安過ぎるバリュエーションが正しい方向に修正されているに過ぎない。
結論
このように何度も割安だと書いておいたNVIDIAの株価がその後どうなったかと言えば、このようになった。
現在の株価は693.32ドルなので、10月の記事から考えて66%の株価上昇、1月の記事から考えても33%の上昇となる。
ちなみに現時点での来年の利益のアナリスト予想平均は20.8ドルで、その数字から計算した株価収益率は33倍となる。NVIDIAの利益成長率を考えればこれでも異常な高さには見えないのだから、もっと割安に見えた推奨記事時点で買っておくべきだったのである。NVIDIAを爆買いしていたスタンレー・ドラッケンミラー氏は大いに儲かっているだろう。
一方で米国株全体はもう本当にどうしようもないくらいの割高水準となっている。NVIDIAといえども市場全体が下がれば下落は免れないので注意されたい。