DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏がFox Businessのインタビューで、米国株と日本株のバリュエーションについて語っている。
インド株と日本株
ガンドラック氏は株式市場の見通しについて聞かれ、次のように答えている。
わたしは日本株とインド株を好んでいる。長期的な投資だ。
ガンドラック氏のインド株推奨については以下の記事で既に報じている。
インド株についてはBridgewaterのレイ・ダリオ氏も同じことを言っていた。
だが今回ガンドラック氏は推奨に日本株を加えている。
米国株のバリュエーション
理由は何だろうか。ガンドラック氏は推奨に入らなかった米国株について次のように述べている。
米国株は長期的な見通しを考えて現在の熱狂の最終段階を見送るべき状況にある。バリュエーションが高過ぎるからだ。
ここでは何度も言及しているが、コロナ後に金利が大きく上がり、国債を保有しているだけで十分な金利が得られる状況で株価の下落リスクを受け入れて株を買う必要があるのかという比較の観点から考えれば、米国株は市場稀に見る割高水準にある。
去年終盤からの米国株高については金利低下が原因だが、それで正当化できる以上の株価上昇となっていることも以下の記事で説明している。
だからガンドラック氏だけでなく、多くの著名投資家が米国株の代わりを探している。
また、ガンドラック氏は米国株について以下の指摘もしている。
市場を牽引してきたはずのマグニフィセント・セブンが牽引を止めたように見えるのも気になる。上がり続けてはいるが、他の銘柄よりも強かった時期は去年の7月に終わってしまっている。
マグニフィセント・セブンは米国株の上昇を引っ張ってきた7銘柄のことである。
銘柄にもよるが、中でも下落が大きいのはTeslaだろう。株価は次のようになっている。
結論
ガンドラック氏は次のように纏めている。
だからわたしは米国株のバリュエーションと熱狂を疑問視している。むしろ現金を持ちたい。25%を現金にして、これから起きる景気後退が来てから投入する。
景気後退時に米国株はどうなるか。ガンドラック氏主催の座談会で、デイビッド・ローゼンバーグ氏が1株当たり利益の30%以上の下方修正を予想していた。
米国株については将来の利益予想も楽観的過ぎるのである。
そうした面も含めてガンドラック氏は米国株よりも日本株やインド株を推奨している。日本株について幸いなのは、コロナ後の現金給付の量がアメリカの数分の一だったために、インフレもアメリカほど酷くはないということである。だから金利上昇も起こってはいるものの、アメリカほどの高金利にはならない。
そうした銘柄も世界的な景気後退となれば下落するだろうが、ガンドラック氏の意見では現金を用意しておいて安くなったところを買うのである。
日本人がこぞって米国株に押し寄せている時に、アメリカの機関投資家は米国株から逃げ出そうとしている。いつものことではないか。