DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏が、自社主催の座談会で新興国株式、特にインド株について語っている。
米国株の長期上昇トレンド
米国株は過去40年間素晴らしいリターンを上げてきた。それは長期の上げ相場だった。
その上げ相場は1980年に始まった。何故ならば、1970年代のインフレ相場の後、長期的に上昇していた金利が1980年に遂にピークに達し、金利はそこから下落したからである。
その後40年に渡ってアメリカの金利は長期的に下がり続け、米国株を支え続けた。一方で日本ではバブル崩壊後に金利がゼロに達し、それ以上金利低下が得られなかったために株式市場は30年近く停滞した。
このように、金利の上下は株式市場に大きな影響を持っている。そして問題は、インフレによってアメリカでも金利の低下が終わり、むしろ金利を上げなければならなくなったことである。
そのような状況にある米国株について、ガンドラック氏は次のように述べている。
米国株は長らく他の国の株式、特に新興国株式よりも良いパフォーマンスを発揮してきた。それは長いトレンドだった。だがそのトレンドは壊れたようだ。
スタンレー・ドラッケンミラー氏も金利を理由に米国株の長期上昇トレンドは終わったと判断している。
逆に言えば、幸いなのはインフレがそれほど酷くなかったためにアメリカほどの利上げが必要ではなかった国々である。
アメリカでは莫大な現金給付によってインフレ率は2%程度から9%まで上がった。だがそれほどのばら撒きを行わなかったためにインフレがそれほど酷くない国もある。
また、アメリカでは金利上昇は莫大な政府債務への利払いが増加することを意味するが、政府債務が少ない国では利上げの悪影響も小さい。
何処の国に投資するべきか
だからガンドラック氏はアメリカ以外の国の株式を推している。だが具体的にどの国が良いのか。ガンドラック氏は次のように続けている。
これは毎年言っていることだが、現在はこれまで以上に確信している。
孫の大学の教育費のような長期的の話ならば、インド株式ETFを買ってただ放置しておけ。
最近、著名投資家の中でインド株が話題である。Bridgewaterのレイ・ダリオ氏もインド株を推奨していた。
何故か。ガンドラック氏は次のように説明している。
インド株は上がる。10倍になる。インドは30年、35年前の中国とまったく同じ状況にある。
30年前、中国は地方から都市部への人口流入によって労働力が急増し、それに対応するために変化が起こらなければならなかった。それが今のインドの状況だ。
結論
多くの個人投資家が、ただ買って放置しておけば儲かると思って米国株をつみたてNISAに詰め込んでいる。だがプロの視点から見れば、現在は米国株を証券口座に詰め込むタイミングとしては最悪である。
だがガンドラック氏から彼らに朗報がある。ガンドラック氏は次のように言っている。
インド株だけがわたしの今のお気に入りだ。株価の動きを見ることさえない。何ヶ月も気にしていない。これは長期のシナリオだからだ。
ガンドラック氏によれば、インド株はただ買って何十年も放置できる銘柄だそうだ。
金利を理由に米国株に見切りをつけている著名投資家は多く、彼らは米国株の代わりを探している。ジョン・ポールソン氏はギリシャ株を推していた。
だがここに個人投資家にとっての問題がある。過去40年の米国株のようなパフォーマンスが欲しければ、過去40年の金利低下によって株価が上がったがその株高の原因がもはやなくなっている米国株を選ぶのではなく、過去40年の米国株と同じようなパフォーマンスに今後40年なるような国を自分で選ばなければならないということである。
結局、将来を予想できなければ投資で利益を得ることはできない。それだけの話なのである。それだけの話が分かる人間だけが利益を得、そうでない人間は損をするだろう。簡単な話ではないか。