レイ・ダリオ氏: 金融市場のアメリカ利下げ織り込みは過剰

引き続き、世界最大のヘッジファンドBridgewaterのレイ・ダリオ氏の、世界経済フォーラム(通称ダボス会議)におけるBusiness Todayによるインタビューである。

アメリカのインフレ率下落

アメリカでは高金利のお陰でインフレ率が9%から3%近辺まで下落してきた。最新のデータは以下の記事で報じている。

だが前回までの記事で、ダリオ氏はインフレ率は現在の3%から3.5%の水準が妥当で、それ以上大きくは落ちないと予想していた。

ダリオ氏はインタビューでインフレ率について次のように述べている。

一部の人々はインフレ率がそれよりも早く下落すると信じているが。

債券投資家ジェフリー・ガンドラック氏らのことだろう。

インフレ率と金融政策

インフレ率が下落し、高金利の必要もなくなり、アメリカは利下げに動く。それが金融市場の見立てである。米国株もそれを前提に上昇してきた。去年終盤からの株価上昇の多くの部分が利下げ期待によるものである。

だがダリオ氏はそのシナリオに警鐘を鳴らしている。彼は次のように指摘する。

アメリカではインフレ率は目標の2%まで下落しておらず、そこまでの下落はまだ確定していない。

また、金融緩和を正当化するような経済危機や失業率の上昇はまだ見られていない。

にもかかわらず、金利先物市場では年内に6回の利下げを織り込んでいる。それを前提に長期金利が下がり、それを前提に株価が上がったわけである。

結論

だがダリオ氏はその前提に異を唱えている。彼は次のように主張している。

わたしの意見では、現在金融市場は実際に起こりそうな規模以上の金融緩和を織り込んでいる。

だからもしそれが巻き戻されれば、金利はむしろ上がる可能性の方が高いのではないかということである。

そうなれば勿論株価の方も影響を受けることになる。金利とインフレ率は果たしてどうなるだろうか。

他の著名投資家の意見も取り上げてゆくので、楽しみにしてもらいたい。