レイ・ダリオ氏: 2024年の米国株は銘柄選択が重要

世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏が世界経済フォーラム(通称ダボス会議)におけるBusiness Todayのインタビューで今年の株式市場について語っている。

2024年の米国の株式市場

アメリカの主要株価指数S&P 500は史上最高値付近で推移している。

この上昇に大きく貢献している一部の銘柄がある。ダリオ氏は次のように述べている。

マグニフィセントセブンという言葉が流行っている。AIなどの潮流に関わっているこれらの7つの会社の株価は極めて良いパフォーマンスとなっているが、それらの銘柄はもちろんその分割高になった。

マグニフィセントセブンとは、Googleの親会社Alphabet、Amazon.com、Apple、Meta、Microsoft、NVIDIA、Teslaという7つの会社を纏めた呼び方である。

S&P 500はその名の通り500銘柄を含んでいるが、各銘柄のウェイトに偏りがあり、実はこれら7銘柄だけで全体の30%弱を左右してしまう構成となっている。

だからS&P 500の好調は必ずしも米国株全体の好調を意味していない。ダリオ氏は次のように続けている。

人々は株式市場を見るときこれらの会社を代表格のように見なすが、より広く株式市場を見渡せば、市場全体は必ずしも良いパフォーマンスとはなっていない。

例えば、大企業を除く米国の小型株だけで構成されたRussell 2000のチャートは次のようになっている。

S&P 500と比べれば明らかだが、2022年からのダウントレンドから抜け出せておらず不調である。

結論

何故このような違いが生まれているのか。ダリオ氏は以下のように分析している。

新しい技術が古い技術を追い出す新たな破壊の時代が来ている。それがどのように各企業に影響するかということが非常に大事だ。

AI関連企業の株価上昇は妥当だということだろうか。しかし一方でダリオ氏は、マグニフィセントセブンは「割高になった」と言っていたことも思い出したい。

結局、重要なのはこれまで株価が好調だった銘柄ではなくこれから好調になる銘柄である。ダリオ氏は今年の株式市場を次のように纏めている。

2024年の株式市場では好調な会社とそうでない会社を区別することが重要だろう。

この相場観は異なる見方から同じ結論を引き出しているスタンレー・ドラッケンミラー氏の相場観とも一致している。ドラッケンミラー氏によれば米国株全体はこれから長期的に上がらないので、銘柄を選ばなければならないと言っている。

つみたてNISAに飛びついている人々の相場観と真逆であるところが面白い。彼らは常にプロの投資家の逆を行く。どういう結果になるか楽しみに見守りたい。