リーマンショックを予想して大きな利益を上げたことで有名なジョン・ポールソン氏が、Capital Link主催の講演で大きく上昇した銘柄を逃した時のことを語っている。
ポールソン氏の修行時代
これはポールソン氏がPaulson & Coを創業するよりも前、ポールソン氏の修行時代の話だ。彼は次のように話し始めている。
わたしが投資のビジネスを始めたのは1982年にOdyssey Partnersに加わった時だ。Odysseyはある倒産した会社に1株6ドルで投資していた。
倒産が決定してから倒産の詳細が決まるまでには時間がある。その間に株価にまだ価値がある場合には株価の価値が決定される。
ポールソン氏は次のように続けている。
わたしがOdysseyに加わった時にはその株は既に35ドルになっていた。わたしは「絶好の買い場を逃してしまった」と思った。だがそこの同僚は「違う、まだ絶好の買い場なんだ」と言った。
だがわたしは「皆が6ドルで買った株をどうやって35ドルで買えるというんだ」と言った。彼らはまだ上昇余地があると言ったが、わたしは次の機会を待つことにした。
5倍以上になってしまった株価を見て、ポールソン氏はとてもそこから投資をする気にならなかったわけである。
だがその銘柄はその後どうなったか。彼は次のように続けている。
その後その株を見ていると、株価は40ドルになり、45ドル、50ドル、55ドル、60ドルと上がって行って、70ドルになった時にソロス氏が大量保有報告書を出した。株価は80ドルに上がった。
わたしの同僚が6ドルで買っているのに、ソロス氏はどうして80ドルで買えるんだと思った。わたしは明らかに35ドルで買っておくべきだった。
若きポールソン氏は6ドルから35ドルになった株価を見て怖気づいた。25歳年上のソロス氏は80ドルで突っ込んだ。どちらが正しかったか。ポールソン氏はこう続ける。
同僚は「ソロス氏の平均の買値は75ドルで、今はまだ80ドルだ、だから買うべきだ」と言った。わたしは「どうして80ドルで買える…」と笑うしかなかった。
株価は85ドル、90ドルと上がっていき、ソロス氏は90ドル超の買値で大量報告書を更新した。株価は100ドルに上がった。
この銘柄は結局、倒産が確定した時には1株160ドルの値段に決まった。
結論
当時既に有名なヘッジファンドマネージャーだったソロス氏には状況がよく見えていたのだろう。ソロス氏のトレーディングの才能については以下の記事で触れている。
若きポールソン氏はこの経験から学んだ。彼は次のように言っている。
わたしが言いたいのは、株価が上がっている時、重要なのはその株価が何処から上がってきたかではなく、何処に行こうとしているかだ。