引き続き、DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏のCNBCによるインタビューである。今回は現在盛り上がっている株式市場が下落に転じるタイミングについて予想している箇所を取り上げたい。
株高は続くのか
Fed(連邦準備制度)がFOMC会合で来年3回の利下げを示唆して以来、株式市場は調子がいい。
ガンドラック氏はそれが年末まで続くのではないかと予想している。
だが一方で、ガンドラック氏は来年第2四半期までの景気後退をメインシナリオとしている。
景気後退になれば1株当たり利益が下がり、株価は下がらざるを得ない。だからガンドラック氏は株価がここから反転して下落することを予想している。
ガンドラック氏の予想する下落タイミング
だが投資家にとっての問題は下落のタイミングである。それを予想するためにガンドラック氏が持ち出すのは、長期金利から短期金利を引いた長短金利差である。
金利は通常長期の方が短期より高くなるが、債券市場が政策金利の高過ぎで将来の景気後退を見込む場合に長期金利が短期金利より低くなり、長短金利差がマイナスになる。
アメリカでは長短金利が長らく逆転したままとなっているが、これについてガンドラック氏は次のように言っている。
長短金利の逆転が解消され、投資家が反射的に債券を買い始めると、それは通常リスク資産の天井だ。
長短金利差は現在どうなっているのか? チャートを見てみよう。
長短金利差は長らくマイナスのままである。
ガンドラック氏はこの長短金利差が再びプラスに転じるときが株式市場の最期だと言っている。
景気後退と株価下落
それは何故だろうか? 長短金利の逆転が解消されるのは、例えば中央銀行が再び利下げをしなければならないほど経済が悪くなり、短期金利が長期金利よりも急激に下がってゆくような状況である。
そのような状況においては金利が下落するにもかかわらず株価は下がってゆく。リーマンショックの時が良い例である。
ガンドラック氏はそういう状況を予想しているのだろう。彼は次のように予想している。
株式を持ち続けるのも良いが、いつかは方向転換しなければならない。しかもかなり急激に方向転換しなければならなくなるだろう。
インフレは上に行き過ぎ、そして下に行き過ぎる。経済も下に行き過ぎるだろう。失業率は上がらなければならない。