12月FOMC会合結果でドル円が急落した理由

米国時間12月13日、アメリカの中央銀行Fed(連邦準備制度)は金融政策決定会合であるFOMC会合を行い、政策金利の維持を決定した。同時に今後の政策金利の動向についても発表しており、それがドル相場に影響を与えている。

景気減速と政策金利

まずは政策金利だが、5.25%に維持された。利上げも利下げもなしである。世界的な物価高騰を受けてゼロから大幅に引き上げられた政策金利はもう半年近くこの水準で止まっている。

だが金利の維持そのものは市場の予想通りであり、Fedが今後の金融政策について何を表明したかが重要な点となる。

いつも会合後に発表される声明文はほとんど変わってはいないのだが、前回では「経済成長は第3四半期に強く拡大した」と書かれていた箇所が「強かった第3四半期から弱まった」に変更され、Fedがアメリカ経済の減速を認めた形となっている。

重要なのはやはりパウエル議長の記者会見である。彼はアメリカ経済の現状について次のように言っている。

インフレはピークから弱まり、しかも失業率に顕著な上昇は見られない。これはとても良いニュースだ。

最近の経済指標によれば、経済成長は第3四半期に見られた強さから大幅に減速した。だがそれでもGDPは全体で今年2.5%成長となる予定だ。

アメリカ経済は減速してはいるが、まだ景気後退にはなっておらず、インフレの下落幅ほどは景気が減速していないことをパウエル氏は喜んでいるようだ。

アメリカのインフレ率は現在3.2%まで下がっている。

利上げは終わりか

インフレが下がってきたから政策金利はどうなるのか。まず半年近く行われていない利上げがもう終わったのかどうかだが、パウエル氏は次のように言っている。

会合参加者は利上げ再開が適切となる可能性は低いと見ているが、その可能性を除外したくはない。

パウエル氏は一応保険をきかせてはいるが、利上げが終わったとすれば、次は利下げだろう。

そして利下げについて言えば、会合参加者の政策金利見通しをプロットしたドットプロットには今回重要な情報が置かれている。

ドットプロットの中央値によれば、来年Fedは3回利下げすることを予想している。前回のドットプロットでは利下げは表明されていなかったから、これは大きく緩和よりのサプライズである。それでドル円が下がっている。

パウエル議長自身も次のように言っている。

次の問題は、今行なっている引き締め政策の量を減らし始めることがいつ適切になるかということだ。それが次の問題で、人々が考えていることだ。

Fedが公に利下げを語り始めている。

結論

筆者は政策金利低下をメインシナリオとしてきたので、来年の利下げを織り込むこの展開はまさに予想通りである。スタンレー・ドラッケンミラー氏も筆者と同じ予想をしていた。

為替相場ではなく今後の政策金利の見通しを直接織り込む2年物国債の金利が筆者の本命だが、こちらも次のように下落している。

金利先物市場によれば、これは来年5回分の利下げを織り込んだ水準である。だが来年の利下げは5回で済むだろうか? ドラッケンミラー氏は来年の利下げ幅についてもっと過激な予想をしているので、そちらも参考にしてもらいたい。