ガンドラック氏: 金利低下でアメリカの住宅価格が下落する

DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏が自社の配信で、高金利にもかかわらずいまだ史上最高値で推移しているアメリカの住宅価格についてコメントしているので紹介したい。

住宅ローン金利と住宅価格

インフレ抑制のための利上げによって住宅市場は影響を受けている。住宅ローンが上昇しているからである。

住宅ローンは間違いなく住宅市場に影響を与えているが、それがどういう影響なのかということが今回のテーマである。

普通ならば、ローン金利が高くなれば人々は住宅を購入しにくくなり、住宅価格は下がると考えるのが普通だろう。

だがアメリカでは住宅価格がいまだに史上最高値で推移している。ケース・シラー住宅価格指数は次のように推移している。

ガンドラック氏の解釈

この状況にガンドラック氏は解釈を与えようとしている。彼は次のように述べている。

住宅ローン金利がこれほど大きく上昇したのだから住宅市場が難しい状況になると多くの人は考えた。

だが実際には逆のことが起きた。住宅の売り手が住宅を売らなくなったので供給が細り、住宅価格は全国平均で新たな高値を更新した。多くの人が天井だと思った2022年の水準さえ超えている。

ガンドラック氏は以前よりこの考え方を提唱している。住宅ローン金利が上がったからこそ以前の低い金利でローンを借りている人は新たにローンを組むことを避けて今の家に住み続けるので、中古の住宅が市場に出てこなくなり、供給が細って価格が上がっているというのである。

だがガンドラック氏は2024年にアメリカの金利低下を予想している。

ガンドラック氏の理屈では、高金利がむしろ住宅価格の上昇に貢献している。では彼の予想通り来年金利が下がればどうなるのか。彼は次のように言っている。

そしてこれからはその逆が起きると考えている。住宅ローン金利が5.5%か5.25%辺りまで下がれば、供給が解放され住宅ローン金利金利の低下によって皮肉にも住宅価格が下がるかもしれない。これまで40年の経験とは逆のことだ。

結論

ガンドラック氏は本当に全面的なデフレ予想である。住宅価格は下がり、インフレ率全体も下がり、アメリカ経済は落ち込んでゆく。

だがローン金利と住宅価格の関係はどうだろうか。ガンドラック氏の言うような側面もあるのも事実だが、ローン金利の上昇が住宅価格にとって全面的に上昇要因ということもないだろう。

だがガンドラック氏はもっと大局的な見方を表明しており、そちらは更に考慮に値する。彼はこう述べている。

金利上昇の環境下では、金利低下の環境しか経験したことのない人が自動的に思いつくこととは違ったやり方で物事は進んでゆく。

1980年から40年続いてきた金利低下の局面は終わったのである。重要なのは考え方を変えることだろう。住宅市場であれ何であれ、これまで当たり前だと思っていたことを疑わなければ投資家は足元を救われるだろう。