引き続き、世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者であるレイ・ダリオ氏の、Fortune Magazineによるインタビューである。今回は2024年のアメリカ大統領選挙について語っている部分を取り上げたい。
2024年アメリカ大統領選挙
アメリカは来年11月に大統領選挙を控えている。前回の選挙で選ばれたバイデン大統領が就任直後に行なった現金給付がインフレを引き起こしただけに、来年選ばれる新大統領が誰かということに投資家は注目せざるを得ない。
現在、与党民主党では現職のバイデン大統領が出馬を表明しており、共和党でもトランプ元大統領の人気がほかを大きく引き離して1位となっているため、2024年はバイデン氏対トランプ氏の選挙になるという見通しがメインシナリオとなっている。
だが債券投資家ジェフリー・ガンドラック氏はそれに異を唱えて次のように予想していた。
大統領選挙の構図は「トランプ対バイデン」とはまったく異なるものになるだろうと予想し続けている。
これには筆者もなかなか驚いたが、面白いことにダリオ氏も似たようなことを言っている。以下がダリオ氏のコメントである。
来年の選挙はトランプ対バイデンの選挙の繰り返しにはなってほしくない。
トランプ氏以外の共和党の候補者
ダリオ氏の発言は予想というよりも願望である。だがダリオ氏はもう少し踏み込んで、来年の選挙がその構図にならないための道筋について語っている。
ダリオ氏は次のように述べている。
問題は共和党の側に別の候補がいるかどうかだ。
だが元々トランプ氏の対抗馬として注目されていたフロリダ州知事のロン・デサンティス氏は完全に失速している。
そこでダリオ氏は最近(トランプ氏以外の候補者の中では)頭角を現しているニッキー・ヘイリー氏を挙げている。彼女は元トランプ政権の国連大使だが、今ではトランプ氏を批判している。
ダリオ氏はこう述べている。
ニッキー・ヘイリーは一番リードしている候補者だ。
彼女は賢いか? 党派を越えた政策実現ができるか? 人柄は良いか? こうした要素を考えると、彼女は社会にとって良い候補だと思う。
バイデン氏以外の民主党の候補者
では民主党の方はどうだろうか。ダリオ氏は次のように言っている。
民主党の側ではバイデンが出馬するかどうかがポイントだ。年齢や人気のなさなどが問題になる。
バイデン氏はパーティで既に亡くなった同僚のことを呼びながらさまよい歩く姿が目撃されるなど、高齢であることが問題となっている。
では仮にヘイリー氏対バイデン氏の構図になればどうなるか? ダリオ氏は次のように続けている。
ほとんど誰でも同意するだろうが、もしニッキー・ヘイリーが共和党の候補として選ばれれば、彼女が恐らく大統領選挙の勝者となる。
だからそれが民主党にとってはプレッシャーになるだろう。民主党の側でも誰もが考えている。誰が次の候補になれるだろうか。カラマ・ハリスは人気がない。
ダリオ氏の論理は、共和党の側でトランプ氏以外の候補が選ばれれば、民主党の方も別の候補を考えざるを得ないということである。
結論
だがヘイリー氏は共和党の候補になれるだろうか。
元副大統領のマイク・ペンス氏もそうだが、トランプ政権時にはトランプ氏のもとで働いていながら今ではトランプ氏を批判している候補には人気がない。
また、ヘイリー氏はウクライナへの支持を表明しなかったとしてトランプ氏を批判しているが、共和党の支持者にはアメリカのウクライナ支援に疑念を持っている人が多いため、一般の共和党支持者の支持を得られるかは疑問である。
だが大統領選挙について様々な可能性を考えておくことは投資家にとって重要である。これからも著名投資家の大統領選挙への予想を報じてゆく。