ジム・ロジャーズ氏: 他人の意見で投資をするとほぼ間違いなく失敗する

ジョージ・ソロス氏とともにクォンタム・ファンドを立ち上げたことで有名なジム・ロジャーズ氏が、Morningstar Indiaによるインタビューで他人の意見で投資することについて語っている。

他人の意見で投資すること

インタビューでロジャーズ氏は、誰か意見を聞きたいと思う投資家はいるかと聞かれて、誰もいないと答えた。

そして彼はその理由について次のように述べている。

他人の意見に従って投資すると多くの場合ミスをするということを学んだ。

誰かが何らかの銘柄について話していて、それを聞いて投資をするとほとんどすべての場合で損をする。

筆者が非金融業の人と会話をするとき、何を買えば良いかをいつも聞かれる。筆者の答えはいつも同じである。他人の銘柄推奨で投資をすることは最悪の投資なので今すぐその考えをゴミ箱に捨てた方が良い。

何故か? ロジャーズ氏は次のように説明している。

例えば誰かと夕食を共にして、その人が推していた銘柄に投資した場合、いつものように自分で大量のリサーチをする代わりに単にその人の言うことを鵜呑みすることになる。その人が大量のリサーチを代わりにやっていると仮定しているわけだが、その保証は何処にもない。

ここで、問題はその人が実際に十分なリサーチをやっているかどうかではない。問題は、その人が十分なリサーチをやっているのかどうかを聞き手は知りようがないということである。

仮に十分なリサーチをした人の意見で投資をすることが正しい投資だと仮定しても、その人の意見が正しいかどうか知りようがない時点でそれは賭けなのである。

投資とギャンブルの違い

投資とギャンブルの違いが分かるだろうか? 自分が何をやっているのかを理解していることである。正しい意見を持っているのかどうか知りようがない相手の意見に賭けることはどちらだろうか。それは投資だろうか。ギャンブルだろうか。

結局、プロの助言を求める素人は常にこの問題に突き当たる。相手が本物のプロかどうか見分けられるのは本物のプロだけなので、彼らにとっては誰の意見を聞いたとしてもそれは投資ではなくギャンブルなのである。

それは誰が相手でも関係がない。例えば金融庁がNISAを奨めていようが関係がない。むしろ相手の肩書で意見の価値を推し量ることは最悪の悪手ですらある。例えばアメリカの中央銀行であるFed(連邦準備制度)のパウエル議長は、2021年に何の根拠もなくインフレは一時的であり勝手に収まると主張していた。

だがパウエル氏ですら日本の金融庁職員よりはましである。彼らは何の根拠もなく株式は長期投資すればリスクの低い投資になると主張した。

だが日本の金融庁の職員はそのほとんどが資産運用を仕事にしたことがない資産運用の素人である。彼らはむしろ業務上多くの金融取引を個人で行なうことを禁止されているので、もしかしたらあなたよりも投資の経験が浅いかもしれない。

その彼らが長期分散投資であれば株式投資は安全だと吹聴している。だがむしろ著名投資家はまったく反対のことを言っている。クォンタム・ファンドにおけるロジャーズ氏の後輩にあたるスタンレー・ドラッケンミラー氏は次のように言っていた。

わたしの投資スタイルはビジネススクールで教えられているものとは正反対だ。彼らは分散投資をすれば、集中投資をするよりリスクが低くなると言う。それが正しいとはまったく思わない。

だが肩書を信じる人にとっては、金融庁はクォンタム・ファンドよりも魅力的な肩書らしい。

結論

ここに来て「肩書を信じる」場合においても金融庁の投資推奨に従うことは理屈に合わないことが明らかになってしまった。彼らの論拠は今何処に残っているのだろうか。

結局のところ、彼らが理解しなければならないのは放置するだけで年間何パーセントも儲かるような投資は存在しないということである。何故ならば、その投資が本当に正しいのかあなたは証明できないからである。

それが確信に変わるためには、彼らが今やっているギャンブルを本当の投資にするためには、結局は経済と金融の勉強を自分で大量に行わなければならない。他の道はない。ロジャーズ氏は次のように纏めている。

自分が何に投資をしているのかをきっちり把握するためには、自分で大量のリサーチをする必要がある。

株式の長期投資についてまだ納得が行っていない人は以下の記事を参考にしてもらいたい。