ガンドラック氏: 米国の住宅価格が上昇している理由はローン金利が高いから

DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏がYahoo Financeのインタビューで非常に面白いことを言っている。彼によれば、アメリカで住宅価格が上昇している理由はローン金利が高いからだという。

金利上昇と住宅ローン

アメリカではコロナ後の莫大な現金給付により2021年から物価が高騰し、それを抑えるために金利が大幅に上げられた。

金利が上がったことは普通なら住宅市場にとってマイナスだと考えられる。住宅を購入する人の多くは住宅ローンを借りて家を買う。その金利が大きく上昇すれば住宅購入のコストが上がり、購入者は家を買うことをためらうと考えるのがセオリーである。

ガンドラック氏は次のように言っている。

住宅ローン金利がおよそ3%から8%に上がった時、人々はそれは住宅市場にとって致命的だと考えた。

アメリカの30年物住宅ローン固定金利は次のように推移している。

住宅ローン金利と住宅価格

住宅ローン金利が高くなれば人々が家を買えなくなり、住宅価格は下がるだろうか。そう考えるのが普通だが、ガンドラック氏によればむしろ逆だという。

彼は次のように説明している。

実際には、金利上昇は家の買い替えにとって致命的となった。市場に住宅が出ないからだ。3%で住宅ローンを借りている人は、新たに8%の住宅ローンを組んで別の家に移ろうとは思わない。

結果として住宅価格は驚くほどに持ちこたえている。市場に住宅が出ないからだ。

金利上昇開始より前に固定金利でローンを組んだ人は、当たり前だが今でも当時の低い金利でローンの支払いを行ない続けている。

だが今のローン金利は7%台なので、彼らがもし自分の家を売って新しい家に移ろうとすれば、家と同時に住宅ローンも現在の高金利のものに乗り換えなければならなくなる。

だから彼らは自分の家を売らず、今の家に住み続ける。結果として住宅は売りに出されないので、住宅市場では需要に対して供給が足らず、価格には上昇圧力がかかる。

結論

実際、アメリカの住宅価格は上がっている。最新8月のケース・シラー住宅価格指数は次のように推移している。

しかも前月比年率の上昇率で見ても、最新の数字では上昇率が加速しているのである。

とはいえ、住宅ローン金利が上がり続けて住宅価格も上がり続けるとは筆者は考えていない。住宅価格が上昇できないローン金利の水準というものは存在するだろう。だが住宅市場は確かに持ちこたえており、ガンドラック氏の指摘は一考に値する。

だがいずれにしてもアメリカ経済には悪影響だろう。賃金は減速し家賃は上がることになる。その方程式の解は消費の減速である。