米国の中央銀行Fed(連邦準備制度)は11月1日に金融政策決定会合であるFOMC会合の結果を発表する。
利上げと株価下落
Fedはインフレ対策のため2022年前半から利上げを行なってきた。元々ゼロだったアメリカの政策金利は結果として5.25%まで上がったが、インフレ率が低下していることもあり、ここ数ヶ月は利上げを停止している。
アメリカの政策金利は次のように推移している。
金利がこれからどうなるかは、金融市場全体にとって重要である。例えば金利が上がれば株式市場にとってはマイナスになる。高金利に惹かれて資金が株式から国債や預金にシフトするからである。
実際、それが最近の株安の原因である。
アメリカの政策金利見通し
政策金利はこれからどうなるか。Fedは公式には、現在の利上げ停止は一時停止に過ぎず、利上げプロセスは終わっていないと言っている。
実際、前回9月のFOMC会合で公開された、会合参加者の金利見通しをプロットしたドットプロットによると、Fedは年内にあと1回の利上げをメインシナリオとしている。
だがFed自身の主張の通りに政策金利が動かないのが金融市場の常である。歴史的には、Fedの自己申告と金融市場の予想では金融市場の予想の方が圧倒的に的中率が高い。Fedは基本的に市場予想を後追いしている。
だから債券投資家のジェフリー・ガンドラック氏などは中央銀行は金融市場で置き換え可能でそもそも不要だと言っている。
では金融市場は今どう考えているのか。今回のFOMC会合における利上げ確率を金利先物市場は次のように織り込んでいる。
- 利上げなし: 96.2%
- 0.25%利下げ: 3.8%
利下げなしが圧倒的だが、次に織り込まれている可能性は利上げではなく何と利下げである。
それでも今回の会合では政策金利は変更されないというのが金融市場の見通しである。では次回はどうか。その次のFOMC会合は12月だが、12月の会合における利上げ(利下げ)確率は市場では次のように織り込まれている。
- 利上げ0.25%: 24.0%
- 変更なし: 73.1%
- 利下げ0.25%: 2.9%
今年のFOMC会合はもう2回しかないので、Fedの自己申告では今回か次回のどちらかで利上げをしなければおかしい。
だが市場はそれを信じていない。12月の会合でも利上げの確率は24%に留まり、政策金利に変更なしがメインシナリオとなっている。
結論
アメリカの政策金利はこれからどうなってゆくのか。金利先物市場の見通しでは、来年末の政策金利は4.5%で、現在から0.75%利下げされた水準となっている。
ちなみに筆者は来年の景気後退を予想しており、利下げは0.75%では済まないと考えている。景気後退のタイミング予想については以下の記事を参考にしてほしい。
だが市場にとっての問題は、金利先物市場がむしろ利下げを織り込んでいるのに、長期金利の高騰が止まらないことではないか。
本格的に米国債から資金が流出している。長期金利の上昇は株価に大きな影響を及ぼすだろう。