チューダー・ジョーンズ氏: 米国債の大量発行で金利はまだまだ上がる

1987年のブラックマンデーを予想したことで有名なポール・チューダー・ジョーンズ氏が、CNBCのインタビューで米国債の発行量と金利の見通しについて語っている。

長期金利の上昇

アメリカでは長期金利が上昇している。そしてそれが実体経済と米国株の両方にとって重しになっている。

ジョーンズ氏は次のように述べている。

恐らくだが、アメリカ経済は来年の第1四半期に景気後退に陥るだろう。債券市場の需要と供給の問題だけを考えても金利は上がるからだ。

債券市場、特に米国債の需給問題を気にする投資家が増えている。Bridgewaterのレイ・ダリオ氏などは、かなり前から米国債の供給量が多過ぎる一方で、買い手が見つからないと指摘していた。

コロナ以後、アメリカでは財政赤字が拡大したことから国債の発行量が増えており、しかもこれまで量的緩和で国債の買い手となっていたFed(連邦準備制度)は量的引き締めによって国債の保有量を減らしている。

だから銀行など民間部門の買い手が市場にあふれる米国債を引き受けることになる。

だが多くの銀行は利上げによる保有国債の価格下落で満身創痍である。いくらかの銀行は今年の前半に潰れた。

だから銀行もそれほど多くの国債を買い支えられるわけではない。

米国債の下落

ではどうなったか? 債券市場に国債が大量にあふれており、しかも十分に買い手がいない場合、導き出される結果は1つしかない。価格の下落である。

債券にとって価格下落は金利上昇を意味するので、長期金利は上がったのである。アメリカの長期金利は次のように推移している。

ジョーンズ氏はこう説明している。

債券市場はこう言っている。今年、民間部門は2.3兆ドルの資金を供給しなければならなかった。それは1%の金利上昇をもたらした。

2024年にアメリカの民間部門が供給しなければならない資金は2.7兆ドルになる。2.7兆ドルだ。

結論

だから、ジョーンズ氏は仮にFedがこのまま利上げを停止したとしても、金利が上がり続けると予想しているのである。

そしてそれは実体経済と株価の両方にとって重しになる。以下の記事における株価の推定は金利が変化しない前提で書いているが、金利が更に上がる場合、株式市場は筆者の推定よりも更に酷い状況になることになる。

インフレ政策でインフレが起こった後のクライマックスがようやく見えてきた。読者にはポートフォリオを万全にして楽しみにしてもらいたい。