ジョージ・ソロス氏のクォンタムファンドを長年運用したことで有名なスタンレー・ドラッケンミラー氏が、BloombergのインタビューでAIと、関連銘柄であるNVIDIAについて語っている。
AI銘柄
チャット形式でAIを利用できるChatGPTが公開されてから、株式市場はAIの話題が盛り上がっている。
様々な銘柄があるだろうが、投資家の多くが注目している銘柄はGPUを生産しているNVIDIAだ。AIには莫大な計算量が必要で、そのためにはCPUより大きな計算量を扱えるGPUが必要なのである。
そしてアメリカ経済全体については金融引き締めによるハードランディングを予想しているドラッケンミラー氏も、AIには強気である。彼は次のように述べている。
暗号通貨とは違ってAIは本物だ。インターネットと同じくらいの革命かもしれない。これは大きな革新だ。
いきなり暗号通貨が矢面に立たされているが、ドラッケンミラー氏の暗号通貨に対する見方は以下の記事で扱っている。
- ドラッケンミラー氏: ビットコインはFacebookに抜かれたMySpaceのよう
- ドラッケンミラー氏: ビットコインは中央銀行の問題への解決策
- ドラッケンミラー氏: 他の国がイギリスに続けば暗号通貨は暴騰へ
だが今回のメインテーマはAIだ。そして彼の一押しの銘柄がNVIDIAなのである。ちなみにNVIDIAは同じく大きな計算量を必要とする暗号資産銘柄でもある。
NVIDIAとハードランディング
ドラッケンミラー氏のハードランディング予想については以下の記事で説明している。
だが、アメリカ経済全体が景気後退に陥ったとき、NVIDIAの株価はどうなるのだろうか? 彼は次のように主張している。
NVIDIAのような企業の受注や利益はハードランディングでも70%上がるのではないかと思っている。
前にも言ったが、そうなれば、消費財株の株価が景気後退でも上がるのだから、NVIDIAの株価がハードランディングで下がるだろうか。現在の高いバリュエーションを考えてもだ。
実際、機関投資家のポートフォリオ開示においてドラッケンミラー氏がNVIDIAを大きく買っていることが判明している。
ドラッケンミラー氏は現在の自分のポートフォリオについて次のように言っている。
買っている銘柄もあれば空売りしている銘柄もあるが、AI銘柄は既に5ヶ月か6ヶ月ほどわたしの買い持ち銘柄の中核を占めている。
NVIDIAの株価見通し
これからNVIDIAの株価はどうなるだろうか。ドラッケンミラー氏はこう続けている。
歴史を見れば、景気後退でも持続的に非常に良い決算を出せば、株価は問題ないということが分かる。
そして最近、NVIDIAの株価は好決算で大きく上昇した。だがNVIDIAは高成長銘柄なので、インフレに弱く2022年は一時大きく下がっていた。株価チャートは次のようになっている。
ドラッケンミラー氏はこの動きについて次のようにコメントしている。
NVIDIAは10月に100ドル台前半で底打ちした。今は380ドルか390ドルだ。もしこのAIの流れが本物で、長期的なトレンドだとしたら、10ヶ月では終わらない。相場とはそういうものじゃない。
ドットコムバブルでさえ2年半続いた。根気のある銘柄は4年上がり続けた。CiscoやSun Microなどだ。
現在の程度の動きではバブルではないと言いたいのだろう。
ドラッケンミラー氏はこう続ける。
NVIDIAが短期的に下がることがあるか? イエスだ。だがAIはトップレベルのプログラマの生産性を5ヶ月前に比べて7倍か8倍にしている。7倍か8倍だ。
AIとその影響力に関するわたしの判断が正しければ、これがわたしが思うくらい大きなものなら、NVIDIAは10ヶ月程度ではなく2年か3年は持っていたいと考えている。だが実際には恐らくそれより長くなるだろう。
経済全体への見方とは正反対の強気姿勢である。ドラッケンミラー氏の株価全般についての意見は以下の記事を参考にしてもらいたい。