ジム・ロジャーズ氏、原油価格はまだ上昇すると予想、シェールオイル産出量の減少継続で

著名投資家のジム・ロジャーズ氏がETのインタビュー(原文英語)で現在底値から反発している原油価格の上昇はまだまだ続くとの見通しを発表している。

その背景には、米国のシェールオイル企業による原油産出量が減少してきていることがある。ロジャーズ氏はその他世界の様々な地域においても減産の兆候が見られると言う。

地中深くを掘削する技術を使った場合、現在の原油価格では利益が出ない。アメリカでフラッキング(水圧破砕法)を行っている業者も、カナダのオイルサンドも商売にならない。ベネズエラもほとんどまともに産出できない。このままの状態が続けば、産出量は減少し続け、原油価格は上がり続けるだろう。

この中でもっとも重要であるのは米国のシェールオイルの先行きである。米国における原油産出量は次のようになっている。

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最近の原油反発は明らかにこのチャートの変化によるものである。最新の週次の数字では8735千バレルとなっており、減少傾向は継続している。ロジャーズ氏はこのトレンドをまだまだ続く中長期的傾向だと言う。

アメリカのフラッキング業者は安い原油価格のために市場から締め出され始めており、産出量は減少している。このまま行けば、今年中に産出量はより劇的に下がるだろう。

シェールオイルの減産は続くだろうか? ではシェールオイル企業が利益を得られない価格、つまり損益分岐点は何処なのか? これについては以下の記事を思い出してほしい。

この記事では、シェールオイル企業のバランスシートを分析した結果、シェールオイルの損益分岐点は原油暴落前の数字で70ドル、コスト削減後の数字で60ドル程度とした。これ以上の原油価格においてはほとんどすべてのシェールオイル企業が息を吹き返す。しかもこれは操業停止点ではなく損益分岐点だから、既存の企業のみならず、新規参入が可能な価格水準のことである。

だから長期的にはここを大きく超えてゆくことは出来ない。しかも将来的にシェールオイルの掘削技術がアメリカから輸出されたとすれば、シェール革命によってもたらされる世界的な供給増は途方も無い量になるだろう。しかし、それはあくまで長期的にはという話である。

短期的見通しはどうか?

事実、原油価格が上昇しているにもかかわらず、シェールオイルの減産傾向は止まっていない。価格の上昇が産出量に影響を与えるまでには時間が掛かる。その時間を正確に計測することは難しいが、しかし原油の空売りを本格的に行うならば、可能な限りその期間を厳密に詰めなければならないだろう。

ロジャーズ氏は議論を次のように締めくくる。「フラッキングを除けば」という部分がポイントだろう。原油の超長期的見通しについては、いずれより詳細に考える必要がある。

覚えておくといいが、世界の原油埋蔵量はフラッキングを用いる分を除けば減少している。そしてフラッキング業者は現在の原油価格では利益を出すことが出来ない。埋蔵量も産出量も減少しているのだ。