ダリオ氏、ポールソン氏、ともに米国株買い持ちを減らしリスクオフを選択

ジョン・ポールソン氏の長編インタビューの紹介に時間を取られて後回しにしていたが、Paulson & Coとレイ・ダリオ氏のBridgewater Associatesの米国株買いポジションを開示するForm 13Fに触れておこう。

両氏とも株式に弱気

まずはリーマンショックでサブプライムローン空売りで利益を上げたことで有名なポールソン氏の今年の相場観をおさらいしておこう。

ポールソン氏は今年の米国株について金融引き締めの影響には遅延があるとして、今年の株式市場については次のような予想を立てている。

今年にはより多くの債券が満期になるが、借り換えの選択肢は限られている。デフォルト率は上がり、倒産は増えるだろう。

そうなれば、今の市場の熱狂とFedが資金を引き揚げていることも考え、株式市場も恐らく第2四半期には調整し、今の水準から下落することになるだろう。

わたしの意見では、株価はそのまま今年中下落することになる。現在の株価上昇は持続可能ではない。

一方ダリオ氏も今や4%の金利が付く現金の方が株式より魅力的だとして株式に対して弱気の見方を示していた。彼の発言を引用しておこう。

現金は今や相対的に魅力的だ。債券よりも魅力的で、実際株式よりも魅力的だ。

両氏のポートフォリオ

では彼らの実際のポートフォリオがどうなっているかと言えば、Form 13Fに報告されているポジションの総額は去年の9月末の開示から今回の12月末で次のように変化している。

  • ダリオ氏: 198億ドル -> 183億ドル
  • ポールソン氏: 14億ドル -> 11億ドル

ポールソン氏の方は自己資金運用のファミリーオフィスなので金額は少ないが、ともに米国株の買い持ちを減らしている。

ちなみにForm 13Fには基本的に空売りのポジションは掲載されない。ダリオ氏の方は分からないが、ポールソン氏は買いポジションをすべて空売りでヘッジしていることをインタビューで明言している。

ポジション内容についてはあまり言うことがない。ダリオ氏はこれまでも主力となっていた高配当銘柄の金額を減らしたくらいのことだ。

  • P&G: 8.4億ドル -> 7.6億ドル
  • Johnson & Johnson: 7.7億ドル -> 6.3億ドル
  • Pepsi: 6.6億ドル -> 5.5億ドル
  • Coca Cola: 6.4億ドル -> 5.4億ドル

ポールソン氏の方はBrightSphere Investment Groupというファンドが最大ポジションとなっている。インタビューでは「長期投資のものは売れない」と言っていたので、こうした銘柄は買い持ちのまま残しながら空売りでヘッジしているのだろう。

結論

ということで、ダリオ氏、ポールソン氏ともにインタビュー通りリスクオフの動きが見られるポジション開示となった。彼らのインタビューとともに参考にしてほしい。

一方でジョージ・ソロス氏、スタンレー・ドラッケンミラー氏のクォンタム・ファンド勢は米国株を買い増している。

株価が下落した2022年は全員が売り推奨だったが、今年は意見が分かれている。

ちなみに筆者は株価下落を予想している。

果たしてアメリカ経済のソフトランディングは可能だろうか。楽しみに結果を待ちたい。