6月のFOMC会合でのアメリカ利上げ予想と金利先物市場の利上げ織り込み、日経平均への影響

6月のFOMC会合の日程が近づいてきたので、米国利上げの可能性について議論してみたい。会合の日程は米国時間6月14日から15日であり、結果は15日に発表される。今回は結果発表後にイエレン議長の記者会見がある会合である。

金利先物市場における利上げ織り込み

先ずは例によって金利先物市場に織り込まれている利上げ回数を確認してみたい。

先ずは6月の会合での利上げの織り込みからである。5月31日現在、6月の会合後の利上げ確率は以下のように織り込まれている(現在の政策金利は0.25%-0.50%である)。

  • 0.25%-0.50%: 71.9%
  • 0.50%-0.75%: 28.1%

つまり、6月での利上げの可能性は低いと織り込まれているようである。しかし7月の数字を見てみれば状況がやや変わる。

  • 0.25%-0.50%: 39.3%
  • 0.50%-0.75%: 48.0%
  • 0.75%-1.00%: 12.7%

これは7月までには一度利上げが行われている可能性が高いと市場が判断しているということである。1割の確率で6月と7月に続けて利上げが行われるとも判断されているが、これはやや行き過ぎだろう。

長期的には利上げはどうなるか?

イエレン議長を含むFed(連邦準備制度)の関係者らが近い将来の利上げをほのめかしたことで、これまでは米国が本当に利上げできるのか懐疑的だった市場も、ある程度利上げの可能性を織り込んだようである。ロイターによれば、イエレン議長はハーバード大学における講演で「今後数カ月に利上げすることがおそらく適切となる」と述べていた。

しかしより長期的に見ると状況はやや異なってくる。例えば以下は2016年12月における政策金利の織り込みである。

  • 0.25%-0.50%: 19.7%
  • 0.50%-0.75%: 40.0%
  • 0.75%-1.00%: 29.3%

年末までに利上げが行われていない可能性はかなり下がったが、依然として一番可能性が高いのは今後1回のみの利上げということになる。つまり、市場は今後1度の利上げはあったとしても、それ以上の利上げは難しいと踏んでいるということである。

米国の利上げについてのわたしの見解は、以下の記事でも書いた通り、昨年12月に行われた利上げを含めて3-4回が限界だというものである。

この予想については大抵のヘッジファンドマネージャーの共通見解であると思う。

しかし逆に言えば、その限界に突き当たるまでは、ドル高がある程度継続する相場になる可能性が高い。だから日本株にとっては「暴落前の最後の上げ相場」となるのである。逆に金相場にとっては最後の厳しい局面となるだろう。出来る限り底値で買っておいて良かったと心底思う。市場で話題になり始めた時には、もう遅いのである。

米国が利上げを続けることは出来ないだろう。しかしそれでもFedは、株式市場が許す限り利上げを続けたいと思っている。

投資家にとってはどちらでも良いことである。市場は行き着くことの出来る場所にしか行き着くことは出来ない。短期的にFedがどう動こうとも、それは変わらないのである。