CNBCによるDoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏の久々のインタビューである。内容は今話題のドル相場である。
インフレ急減速でドル下落
ドルは長らく上昇してきた。Fed(連邦準備制度)の金融引き締め政策によってドルの金利が上がったことにより、高金利に引き寄せられてドルが買われてきたからである。
しかし11月に発表された10月のインフレ統計によってすべてが変わった。
インフレは急減速し、Fedは来年には利上げを停止できるのではないかという観測が出てきた。
ここがインフレ率のピークであれば、金利についてもピークということになる。そしてそれはドルのピークでもある。
ガンドラック氏の意見はどうだろうか? 彼は次のように述べている。
ドル相場はピークを超えたと考えている。ドル指数はほぼ200日移動平均線のところまで下落しており、もしユーロドルが1.08の水準を超えたならば、ドルは本当にピークアウトしたということなり、新興国株への投資は恐らく2023年の勝者になるのではないか。
勿論今後のインフレ統計次第で短期的にはどう動くかは分からないが、ガンドラック氏も概ねここがドルのピークだと考えているらしい。
ドル相場の動き
まずはドルを考える時に投資家が真っ先に確認するユーロドルのチャートを掲載しよう。(上方向がドル安ユーロ高である。)
ずっとドル高が続いてきたので、ユーロドルは久々の上昇となっている。
ドル円のチャート(下方向がドル安円高)も掲載しておこう。
そして以下は筆者が10月に買いを仕込んでおいたゴールドのチャートである。ドル安によってゴールドへも資金が流入し、金価格は上昇している。
ドル安と新興国株
そしてガンドラック氏がこの状況で薦めているのが新興国株である。彼は次のように言っている。
年に1度ポートフォリオの中身を調整するような投資家には、今こそ新興国株を取り入れるべき時だと言いたい。
恐らくは為替ヘッジをせずに新興国株をそのまま買うことを薦めているのだろう。そうすれば、ドル圏内に住んでいる投資家にとってはドルに対する現地通貨上昇も利益となる。
何故新興国株かについては筆者が補足しておこう。一般に新興国株はドル高に弱い。新興国は政府や企業がドル建てで債務を抱えていることが多く、ドルが上昇した上に金利が上がれば、債務負担は爆発的に増えることになる。
だからこれまで新興国株は大いに売られてきた。だがドル高が反転するのならば、その勢いも逆流するというわけである。
ドル建てで取引されている新興国株ETFのチャートを見れば、株式の値上がりと通貨の上昇の両方を足したリターンが観察できる。
これまでの下げが大きいので分かりにくいのだが、底値から10%以上急騰している。
ついにドル高相場終了へ
ここでは何度も報じてきたことだが、筆者やガンドラック氏を含む投資家はこのタイミングを待ち構えてきた。
ドルはインフレによる金利高で上がっていたが、そもそもインフレとはドル紙幣の価値下落のことである。
だから金利上昇が終わればその反動が一気に来る下げ相場となる。スタンレー・ドラッケンミラー氏は6月にこう言っていた。
今後6ヶ月のいつかのタイミングで自分がドルを空売りしていなければ驚くだろう。
6ヶ月というタイムフレームも完璧である。
ちなみに筆者は10月にゴールドの買いを仕込んでいた。
そしてガンドラック氏は新興国株の買いのタイミングをずっと待っていたわけである。彼は次のように述べている。
わたしは1年半も新興国株買いのタイミングについて話し続け、「まだだ、まだだ」と言い続けてきたが、今こそ引き金を引くべき時だ。
そしてレイ・ダリオ氏によればドル高が終了すればアメリカ経済は終了だという。
ここから始まる不況については、20世紀最大の経済学者フリードリヒ・フォン・ハイエク氏が説明してくれているので、そちらを参考にしてもらいたい。