2020年、日本政府は新型コロナウィルスのためにGO TOトラベルを実施し、この政策は大成功に終わった。
2022年の全国旅行支援では主な顧客はドル円であるようで、ドル円相場は1回につき5円程度の日帰り旅行を何度も楽しんでいるようだ。
ドル円に為替介入
ドル円のチャートを掲載しよう。先週の金曜日、ドル円の為替レートは151円台から146円台まで2時間ほどで5円程度急落した。
その後、ドル円は週末をはさんで月曜日の朝には150円近辺まで戻した。
だがその後、ドル円は再び149円台から145円台まで下落した。そして149円近辺まで素早く戻している。
為替介入は中長期的には無意味
日本国民は日銀が引き起こした円安によるインフレで苦しんでいるわけだが、この為替介入に意味があるのかどうかについては、アメリカの元財務長官で優れた経済学者であるラリー・サマーズ氏が事前に次のように説明していた。
日本の為替介入のような場合、つまり為替介入が金融政策の方向に反するものである場合、それが為替レートの道筋を本当の意味で変える可能性と同時に、投機家に絶好の機会を与える可能性も考えるべきだろう。
ちなみに1995年に行われた前回の為替介入は日米の協調介入であり、当時の為替政策責任者がその時財務副長官だったサマーズ氏であるから、この言葉には重みがある。
何度も言っているが、円安は日銀が金利を無理矢理低位に保っているから起こっていることであり、それを変えずに一時的な為替介入を行なっても意味があるはずがない。そもそも日本政府はドル円を上げたいのか下げたいのか。
日本の鈴木財務相は「今私どもは市場を通じて投機筋と厳しく対峙している」と言っているが、日本政府が実際に対峙しているのは日銀である。サマーズ氏はこれを1人綱引きと呼んでいる。
元々為替介入の直後には、そのドル円下落は続かないと見た筆者を含む投資家が安いところでドル円を買って反発したところで売るということを続けているので、下がったドル円はすぐに元に戻ってゆく傾向を見せていたが、介入を重ねる度に戻る速度が上がっているように思える。
投資家としてはあまりに簡単な仕事である。日本政府はスタグフレーションを懸念する短期トレーダーに補助金を出すことで経済再生を目指しているが、少なくともそれは成功していると言える。
結論
だがそもそも日本政府は何がしたいのか。鈴木財務相は9月に次のように述べていた。
為替相場はファンダメンタルズに沿って安定的に推移することが重要であって、急速な変動は望ましくない
ドル円は日米金利差の変化というファンダメンタルズに従ってここまで上がってきた。半分は日銀が設定したこのファンダメンタルズに反し、急激に1日に5円も自分の意図する方向に動かそうとする誰かの為替取引を鈴木氏はきっと懸念しているだろう。
だが心配は無用である。このようなファンダメンタルズに反した急激な動きは投資家によって是正される。
市場にファンダメンタルズが反映されていない時、それをしっかりと反映させるのが投資家の仕事である。日本の自民党がどれだけ愚かであろうと、投資家は官僚と違って報酬が貰える限りはきっちりと仕事をするので安心してほしい。