ジョージ・ソロス氏とクォンタム・ファンドを創業したことで有名なジム・ロジャーズ氏が、The Meb Faber Showのインタビューでコモディティ投資について語っている。
コモディティ投資は危険か?
少し間が空いてしまったが、ロジャーズ氏が金属や農作物などのコモディティ銘柄を推奨していた話の続きである。
この記事では銀や銅や砂糖など、様々な銘柄をチャートとともに紹介したので参考にしてもらいたいが、ロジャーズ氏は人々の間にはコモディティ投資に抵抗があるかもしれないと言う。
だが多くの人はコモディティを恐れている。コモディティは危険だと他の人に言われたのだろう。
ロジャーズ氏は以前、「誰でも先物取引で破産した叔父が1人ぐらいは居るはずだ」という冗談を飛ばしていた。
そして彼はこう続ける。
それは正しい。あらゆるものは危険だ。自分が何をしているのか理解していなければ。
だが自分が多くのことを理解しているものに投資をすれば、大きな利益を上げることができる。
当たり前の話である。だが実際にはこの当たり前の話をきっちり理解している人はほとんどいないのではないか。
株式は理解しやすいか?
何故ならば、多くの人が株式投資には簡単に手を出すからである。だがロジャーズ氏はこう言う。
ところでコモディティは株式などよりも理解しやすいはずだ。IBMやMicrosoftについて理解している人は誰もいない。その企業のトップであってもそうだ。従業員だけで何人居るというのだろう。
ここでのポイントは、こうした米国企業が彼らに親しみやすいものであっても彼らが理解しているものではないということである。親しみやすくとも理解していないものなどいくらでもある。だが人々はこの2つを容易に混同する。
実際には、企業を1つ理解するためには膨大なリサーチを必要とする。あらゆる部署にあらゆる従業員が居て、キーパーソンとなるのは誰なのだろうか? どの部署では誰が実権を握っていて、その人の実力はどれくらいなのだろう? 幹部が横領したとして、投資家はそれを予測できるのか? そういうことが起こりそうな文化がその会社にはあるか?
だが一方で砂糖への投資はこれらすべての懸念を払拭してくれる。ロジャーズ氏は次のように言う。
だが砂糖は非常に単純だ。砂糖が何なのか誰でも知っている。
一部の砂糖が実権を握ったり横領したりすることはないからである。
自分の理解しているものに投資すること
冗談のような話だが、これは非常に重要である。人間はしばしば自分が何を理解していて何を理解していないのかを見失う。
S&P 500に投資をしている人に、今後の金利と企業利益の見通しについて聞いてみるといい。この2つが分からなければ米国株のことなど何も分からないのに、彼らは何も分からないものに投資している。彼らは自分が何をやっているのかさえ理解していない。
だが砂糖が何であるかは誰でも知っているはずである。ロジャーズ氏はこう続ける。
それは投資をするには良いスタートラインだ。
あとは需要と供給を理解すればいい。それが簡単だと言っているのではない。だがIBMやMicrosoftやAppleなどを理解するよりは簡単だろう。
結論
コモディティ投資が気になっている読者も居るだろうから付け足しておけば、需要と供給についてはまず各銘柄の消費量・生産量・輸出量・輸入量を国別に調べることになる。例えば小麦などはロシアやウクライナの輸出が多かったため、ロシアのウクライナ侵攻後に価格が高騰した。
少し古い本だが、ロジャーズ氏の『商品の時代』という著書は、コモディティ投資をする上で基本的な考え方を教えてくれるだろう。但しデータは古いため、現代の状況に置き換えて考える必要はあるだろう。
商品の時代