もうヨーロッパで起きることは大体ギャグなのではないかと思ってしまうが、猛暑の中、ヨーロッパでは脱炭素政策とロシア制裁による電力不足が深刻化し、スペイン政府はついに公共の場でクーラーの温度設定を27℃未満にすることを禁止した。
クーラー禁止
この法令は先週発表され、一般家庭は禁止はされないものの、すべての家庭は同じ方針に従うことを「推奨」される。だがヨーロッパの家庭は普通クーラーを持っていない(猛暑の期間が日本より短いため)ので、クーラーは基本的に公共施設にしかなく、実質的に国内全面禁止に近い。
公共施設には会社、店舗、バー、劇場、空港、駅などが含まれ、これらの施設は冷気を無駄にしないためドアを開けっ放しにすることを禁じられる。またこの法令は少なくとも2023年11月まで有効となり、冬の間は暖房の温度設定を19度以下に保つことが義務付けられる。
家庭によって感覚が違うかもしれないが、日本人の感覚ではかなり厳しい温度設定ではないか。筆者の感覚ではそれで冷暖房を付ける意味があるのかと思ってしまう。
また、これはスペインだけのことではない。フランスでも公共施設は温度設定を夏は高く、冬は低く保つことを要求され、ドアを開けっ放しにした店舗は750ユーロ(約10万円)の罰金を課される。
電力不足の理由
ヨーロッパは電力消費を減らすために必死である。何故そこまでしなければならないのか? 第一の原因は化石燃料の生産を強制的に減らす脱炭素政策である。
原油や天然ガスなどの採掘企業への融資を取り締まり、採掘企業が資金不足のため化石燃料を掘れなくなった結果、化石燃料が足りなくなりエネルギー価格が高騰している。
つまり、化石燃料の生産を止めた結果、化石燃料がなくなり困っている。
馬鹿ではないのだろうか。世間ではエネルギー価格高騰の原因としてウクライナ情勢がどうこう言われているが、原油価格がいつから上がっているかを見れば、原因が他にあることは明らかである。ロシアのウクライナ侵攻は2022年2月末から始まっている。
大手メディアでエネルギー価格について語っている人々は原油価格のチャートさえ確認していない。彼らは仕事を辞めるべきである。
また、日本を含む西側が行なっている対ロシア経済制裁だが、日本やヨーロッパがロシア産の原油を輸入しない一方で、西側メディアに毒されていない中国、インド、トルコ、ブラジル、ハンガリーなどの中立の国はNATOの対ロシア戦争に加担せず、普通にロシアからエネルギー資源を買っており、しかも一部は西側に転売されている。
結果、上記のようにヨーロッパ以外での原油価格はウクライナ前の水準以下に下がっているが、ヨーロッパの天然ガス価格などは急騰したままである。
つまり、制裁はロシアには効いていないが、制裁を行なっているヨーロッパはダメージを受けている。日本を含む西側の制裁は自国民だけを害している。政治家のやることとしては平常運転と言うべきだろう。
結論
ヨーロッパの市民が冷暖房を諦めている話は以前から聞いていたし、欧州人のうち脱炭素を支持しなかった人々には気の毒なことだと思っていたが、ついに法令となった。
脱炭素政策も対ロシア制裁も端的に言って完全に不必要な自殺行為である。それは中東から難民でも何でもない単なる移民をヨーロッパに呼び寄せ、その多くを地中海で溺死させ、強姦とテロを自国にもたらした時からずっと続いている西洋の長期トレンドである。
ちなみに一部のリベラルメディアはこの冷暖房禁止措置を二酸化炭素を減らせるサステイナブルで素敵な法令として報じている。
もう彼らは文明を捨ててほら穴で生きれば良いのではないか。人間はもう駄目だと筆者は本気で思っている。