かなり久々に元大統領ドナルド・トランプ氏の話題を取り上げたい。アメリカの下院議長ナンシー・ペロシ氏が中国が警告するなか台湾を訪問したことに対し、トランプ氏はCPAC(保守派の会合)での演説で批判している。
ペロシ氏の台湾訪問
ペロシ氏の台湾訪問については中国が猛反対していた。彼女は下院議長であり、アメリカの高官が台湾を訪問することは、表向き台湾を国と認めていないアメリカの方針を転換する方向に解釈できるからである。
ペロシ氏はアジア訪問に出る前、台湾を目的地には数えていなかった。しかし結局彼女は台湾を訪問し、中国は報復として台湾を囲む形で軍事演習を行なった。
このことについてトランプ氏は次のように述べている。
この女性はカオスを撒き散らす。それが今起こっている。それが中国と台湾の間で起こっていることだ。
久しぶりにトランプ氏の発言を取り上げたのは、筆者の考えと同じだったからである。
世間ではペロシ氏は台湾訪問の権利があるとか、本質から外れたことが話されているが、注目してもらいたいのは彼女の訪問に何の意味があったのかということと、彼女の訪問の結果として起こったことである。
台湾訪問の結果
ペロシ氏の訪問の結果として起こったことは中国の軍事演習である。これはペロシ氏が来なければ起こらなかった。トランプ氏は彼女の行動が中国を助けたとして次のように批判している。
彼女の台湾訪問は中国を利する。何故ならば、これで中国は何でも好きなことをやる格好の口実を得たからだ。
考えてもらいたいのだが、これがアメリカの外交の結果世界中で起こっていることである。アメリカがアジアに来なければ朝鮮半島は分割されていなかったし、ベトナム人が同胞同士で殺し合うこともなかっただろうし、アメリカがウクライナに居なければ、姉妹国であるウクライナとロシアが殺し合いをしていることもなかったのである。
逆に例えば中国人が沖縄に来て反日を煽ったら日本人はどう思うだろうか。ロシアがメキシコの反米を煽ったらアメリカ政府はどう対応するだろうか。
メディアに載せられた人々はペロシ氏の台湾訪問やアメリカのウクライナ支援を善人ぶりながら支持しているが、アメリカがそこに居なければ紛争はそもそも起こっていないということを考えれば、彼らが支持しているのは人殺しである。
そしてペロシ氏は台湾を支持すると声高に語りはしたが、実際にアメリカのためにロシアと戦争になったウクライナに欧米諸国は参戦していない。結果として、日本のメディアは報じていないがウクライナは敗走寸前であり、いずれロシアに分割されて国土は恐らく戻ってこないだろう。
欧米の支援はブダペスト覚書で約束されていた(この約束は巧妙にも欧米が法的義務を負わないように書かれていた)ので、ゼレンスキー大統領は当初一切参戦しない欧米を批判したが、武器がもらえると分かるとそれを失うわけにもいかないので批判を止めた。
この「約束はするが実行はしない」戦略はアメリカの常套手段であり、しかもその約束こそが戦争を引き起こしているのだから、これを支持している人々は筆者には正気とは思えない。このペロシ氏の訪問はまったく台湾の利益になっておらず、ペロシ氏がそれを行なったのは自分の政治的キャリアのためである。
人々はいつまでも同じ手に騙されている。何故ならば彼らは学ばないからである。