日本時間で5日の20時45分からECB(欧州中央銀行)の金融政策決定会合が予定されている。この会合は、前回の会合でドラギ総裁が金融緩和の可能性に言及したことで非常に注目されている。
ユーロ
前回の会合から下がり始めたユーロドルは、現在1.36を少し割った水準で推移している。以前の記事に書いた通り、この水準は利下げを織り込んだものとしては下げ過ぎであるが、量的緩和のないことに賭けて短期的に買い迎える水準は1.35程度であり、こちらもやや遠い。やはりユーロ売りが有効であるのは、今回の会合が利下げのみで終わり、ドラギ総裁が利下げの効果を見極めるために量的緩和を数ヶ月遅らせることで市場が落胆し、ユーロが再び上がったときである。この場合もユーロ圏のインフレに関する諸指標を注視したい。
ドイツ国債
ドイツ国債は年末以来、株安のときも株高のときも上がり続けた、グローバル・マクロ・ヘッジファンドの今年の虎の子であるが、そろそろ撤退を考えている投資家が多いだろう。国債は天井を読むのが難しいが、少なくとも魅力的な買い場は過ぎた。
米国債の場合、量的緩和期待で上昇し、緩和開始後には下がり始め、緩和縮小でもとの水準まで戻るというのが経験則だが、日本国債の場合は緩和開始後も上がり続けている。ドイツ国債はどうなるか。今回の会合後のドイツ国債の動きはほかの投資家の考えを読む上での試金石となるだろう。少なくとも単なる利下げを好感して更に上がるような水準ではないはずだ。ポジションを落として市場の反応を眺めるべき局面と思われる。
欧州不動産株
ベルリンのGSW Immobilien(Google Finance)を中心に上がり続けているが、買える水準のものがまだある。パリのGecinaは紹介記事以来10%ほど上昇したが、いまだP/B(株価純資産倍率)は1前後の水準である。噂されているマイナス金利が住宅市場にどう影響するかは未知数な部分があるが、量的緩和のないことに市場が落胆して株価が下がる場合、絶好の買い場となるだろう。割安のものから引き続き注視したい。