アメリカの中央銀行Fed(連邦準備制度)は米国時間6月14日から15日まで金融政策決定会合であるFOMC会合を行い、通常の3倍の利上げ幅である0.75%の利上げを決定した。政策金利は1.5%まで上げられたことになる。
0.75%利上げ
アメリカが物価高騰に襲われているなか、利上げ自体は勿論既定路線なのだが、まず0.75%に驚いた読者もいるかもしれない。
ちなみにこれは市場の予想通りだった。市場は0.75%の利上げを予想していた。しかしこれは先週発表されたCPI(消費者物価指数)統計を受けて切り上がった数字だった。
Fedは0.5%の利上げを行うと主張しており、市場ももともと0.5%を織り込んでいた。
しかしインフレ率が予想を上回る8.5%であったことから、市場は一気に0.75%利上げを織り込み始めた。
明らかに収まっていないインフレを見て、債券投資家のジェフリー・ガンドラック氏などは発表前日に次のようにツイートしていた。
わたしの意見では、Fedは明日、政策金利を3%まで上げるべきだ。
Fedの選択はそれほど急激なものではなかったが、市場予想にそのまま従って0.75%の利上げを行う結果となった。
Fedは市場予想のままに利上げを行うだけで何も頭脳的な仕事をしていないとしてガンドラック氏に批判されていたが、今回もその面目躍如といったところだろうか。
今後の利上げ方針
ある意味では何のサプライズもなかった今回の会合だが、投資家としては今後の利上げ方針が気になるところである。
市場がどう予想しているかと言えば、次の7月の会合で現在の1.5%から再び0.75%利上げをして政策金利を2.25%まで上げることをメインシナリオとしている。
この織り込みは会合前からそうだった。そして会合の後の記者会見でパウエル議長がどう言ったかと言えば、彼はこう言った。
明確にしておきたいのだが、今日の0.75%利上げは特別に大きな利上げ幅で、この大きさが普通になるとは予想していない。現時点で言えば、次の会合では0.5%か0.75%の利上げが一番可能性が高いものとなりそうだ。
0.75%の言及は、市場がそう言っているからである。
何度も言っているが、彼らの量的緩和自体がインフレを引き起こした原因の1つであり、しかもインフレが起こってそれを抑制する段階においては市場にそのまま従う以上のことを何もしない。
何故中央銀行が必要なのだろうか? 誰か教えてほしいものである。ガンドラック氏は中央銀行家を全員解雇せよと言っているが、当たり前の選択ではないか。
市場の反応
さて、一応市場の反応も見ておこうか。会合結果を受けて株式市場は上昇した。チャートを見ての通り、水曜日のザラ場では米国株は上昇で終わったが、今日に入って株価先物はその上昇分を巻き戻す下落となっている。
会合当日の上昇は主にパウエル氏が0.75%とともに0.5%の利上げにも言及したことによるものだが、要するに一部の市場参加者は金利を決めているのはパウエル氏ではないということがまだ分かっていないようだ。
だがインフレが止まらない限り市場では金利が上がり続けるし、中央銀行にそれに従わない権限はない。従わなければ物価高騰が青天井になるからである。
会合後の反応も含めて、前回の記事で株価の行方について予想した展開をそのままなぞる形になっている。年始から言っているが、これほど予想しやすい相場もなかなかないのではないか。ここの読者で投資をしている人は今年かなりの利益を上げているだろう。