引き続きDoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏の自社Webcastから彼の相場観をお届けしよう。
インフレと景気後退
アメリカでは物価が高騰しており、Fed(連邦準備制度)はインフレを抑えるために金融引き締めを行なっている。
この状況で実体経済と株価がどうなるかということが議論の的になっている。ガンドラック氏は次のように述べている。
深刻な景気後退は避けられないのだろうか? 答えはイエスだ。景気後退は常に不可避で、問題はいつかということだけだ。
今について言えば、実体経済には歪みがあり、Fedは金融緩和から態度を逆転させている。よって2023年に景気後退が来るだろうというのがわたしの予想だ。
一方でソロスファンドのように景気後退は不可避だが、まだもう少し先だと考えている論者もいる。
筆者は個人的にはガンドラック氏に同意しており、もしかしたら今年中かもしれないとも考えている。
タイミングの予想は様々だが、インフレで中央銀行が金融引き締めを止められない以上、景気後退は不可避である。
景気後退と株価暴落の後
だから筆者は年始から株を空売りしている。以下の記事で表明した通りである。
株価が暴落するところまでは既定路線である。
だがここでは株価が下落する前から暴落について語ってきたのだから、常に先を見越してそろそろ暴落後のことを考え始めるべきではないか。いまだに株が落ちるかどうか分からないと寝言を言っている人々も多いなかで、ここの読者ならばそれを望んでいるはずである。
当たり前の結果が起こった後、1つの問題は、政府や中央銀行がどうするかだろう。ガンドラック氏は次のように述べる。
そうなれば中央銀行はどうするだろうか? 彼らには次のことしか出来ない。金利を下げ、紙幣印刷をすることだけだ。
そして次の景気後退においてはそれが行われるだろう。そしてこれまで以上にお金がばら撒かれる。他に出来ることがないからだ。
だがそれこそがインフレの原因だったのではないのか。
そしてインフレが金融引き締めを生み、金融引き締めが株価暴落と景気後退を生みだしたのではないのか。
しかし今更政府に賢明な経済学的対処を求めてもどうしようもないだろう。そして根本原因はそれらの政治家を支持する国民が愚かだからである。
結論
ガンドラック氏は次のように続ける。
もう一度以前と同じことが行われる。そしてそれこそがまさにわたしが長期的にドルに非常に弱気な理由だ。ドルは景気後退と同時に下落するだろう。
興味深いのは、ガンドラック氏がドルの下落タイミングをしっかり予想していることである。そして筆者もそれに同意する。
アメリカにおける物価高騰とはドル紙幣が紙切れになるということであり、それはいずれ為替相場にも反映される。ドルは今年の後半から来年の半ばにかけて下落してゆくだろう。重要なのはこの長期トレンドを見失わないことである。
株価が暴落し景気が後退する時、政府はすべての元凶である金融緩和をもう一度行い、そしてそれは今以上のハイパーインフレに繋がってゆくだろう。