ドラッケンミラー氏、株式と債券を大量空売りに成功 株安は続く

かつてジョージ・ソロス氏のクォンタム・ファンドを運用したスタンレー・ドラッケンミラー氏がSohn Investment Conferenceで、2022年の株安相場における自身のトレードについて語っているので紹介したい。

大量空売り成功

まずドラッケンミラー氏は、ここ半年ほど株式と債券の両方を大量に空売りしていたことを明かしている。まず米国株はこれまで次のように推移している。

また、株式だけでなく債券も空売りしているところがマクロ投資家らしい。筆者はドラッケンミラー氏よりも少し複雑なトレードをしたが、債券市場で空売りもしていた。債券市場に興味のある読者は以下の記事を是非読んでほしい。

さて、アメリカの長期金利は次のように推移している。金利上昇は債券価格下落を意味するので、ドラッケンミラー氏は株式市場と債券市場の両方で利益を上げたことになる。

空売りは一旦休止

一方で、ドラッケンミラー氏は現状では空売りを小休止しているようだ。彼は現在の相場を次のように見ている。

弱気相場に入って6ヶ月目というところだ。短期的には下げの第1段階が終わった可能性があるが、下落相場に更なる続きがある可能性は非常に、非常に高い。

空売りについて一息ついていることについては次のように述べている。

わたしは多くの下落相場を知っている。その経験によれば、下落相場であまり積極的に空売りをし過ぎると、強力な反発にやられる。

だから、毎日スクリーンを見ながら考えてはいるが、今のところ空売りを小休止している。

前にも言っているが、下落相場とは長丁場なのである。リーマンショックの時もそうだが、天井から大底まで1年から1年半かかることが普通である。リーマンショック時の米国株のチャートを掲載してみよう。

だから天井から大底まで空売りを続けるもよし、タイミングに自信があれば美味しいところだけ空売りするもよしということである。

下落相場はまだまだ続く

しかし長期的な見通しについてはドラッケンミラー氏はかなり弱気である。彼は次のように述べている。

インフレ率が4.5%を超えてソフトランディングが可能だったことは歴史上ない。

インフレは高止まりし、非常に広範な資産バブルになっている。ソフトランディングの見込みがあると言うのは難しい。実際、状況はかなり積極的にハードランディングを指し示している。

ソフトランディングを予想すれば歴史的証拠の反対に賭けることになる。

事実、以下の記事で説明しているように、株安の原因となっている金融引き締めを行なっているパウエル議長でさえ、ソフトランディングが不可能であることをほとんど認めている。

だからドラッケンミラー氏の小休止はあくまで小休止だろう。現在が下落相場のどのあたりの位置にあるかについては、以下のレイ・ダリオ氏の記事が参考になるだろう。

結論

ということで、この状況で優れた投資家が行うことはほとんど同じということである。

ドラッケンミラー氏は次のように予想している。

市場のバブルの程度や、市場の崩壊、ウクライナ情勢、中国のゼロコロナ政策などを考えると、安心するのは難しい。

来年のいずれかのタイミングで景気後退に陥ると強く予想している。

また、ドラッケンミラー氏は株式の空売りをすると同時に、コモディティ(特に原油)を買い持ちにしていたことを明らかにした。これはマクロ投資家のスタグフレーション対策であり、筆者が年始に以下の記事で公開した戦略とまったく同じである。

ここでは世界最高のファンドマネージャーが空売りに成功してから後で明かすようなトレード方法を事前にお伝えすることを目的としている。少しでも読者の役に立っていれば幸いである。