Fed(連邦準備制度)がインフレ抑制のために利上げと量的引き締めという強力な金融引き締め政策を行なっていることを受け、株式市場は下落を続けている。
だが利上げは続けられる。6月と7月に0.5%の利上げがあるということは既定路線となっている。しかしその後はどうなるだろうか。当局者のコメントを引用しながら状況を見てゆきたい。
2022年利上げ相場
まずこれまでの利上げ状況だが、Fedは3月のFOMC会合でコロナ後始めてとなる0.25%の利上げを行い、続けて5月に通常の倍の規模の0.5%の利上げを行なった。つまり現在の政策金利は0.75%ということになる。
次の会合は6月、7月、9月と続くが、6月と7月については市場もFedも0.5%ずつの利上げという見通しで一致しており、7月のFOMC会合を終えた段階でアメリカの政策金利は1.75%まで上がるだろう。
しかし問題は9月以降であり、それについてFed内部で意見が多少割れている。
9月以降の利上げ速度
例えばアトランタ連銀総裁のボスティック氏は次のように述べた。
9月に利上げを一旦停止することには意味があると個人的には考えている。
夏を過ぎ、その時に政策の結果がどう出ているかを考えてからどうするかは、その時の経済状態に大きく依存することになると考えている。
つまり、一旦利上げを止めてこれまでの利上げの成果を見たいというのがボスティック氏の考えらしい。
一方で、インフレが全然止まっていないことから、むしろ利上げを加速する必要も出てくると見ているメンバーも居る。クリーブランド連銀総裁のメスター氏は次のように述べている。
9月までにインフレが落ち着いていないならば、より急速な利上げが必要になるかもしれない。
そこで調停に出たのが副議長のブレイナード氏である。彼女は次のように述べた。
インフレを2%の目標値まで下げるためにはやるべきことが多く、利上げの一時停止を行うことはかなり難しいだろう。
9月までに月次のインフレ統計にある程度の減速が見られず、かなり過熱している需要が少しでも冷却されていない場合、次の会合でも同じペースで利上げを進めることが妥当になるだろう。
市場も大まかにはブレイナード氏に同意しているようであり、金利先物市場は9月には0.5%の利上げがあるというシナリオが一番確率が高いと予想している。
株式市場の動向
ところで、下落相場にはよくあることだが、株式市場はいつもの通り下がったり反発したりを続けている。S&P 500のチャートを掲載しよう。
だが、今の状況ならまだいいが、程度の差はあれ利上げは続いてゆく。市場予想によれば、年末には政策金利は2.75%に至り、来年には政策金利が長期金利を超えるというもう何十年もなかった金融引き締め状況が実現することになる。
もう手遅れかもしれないが、株を買っている人は大丈夫だろうか。
ただ、詳細な利上げのペースや株安のペースについてはやはりインフレ統計がどうなるかに左右される。今月のCPI(消費者物価指数)統計ももうすぐ発表される。こちらも報じる予定なので楽しみにしておいてもらいたい。