DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏がCNBCによるインタビューで、インフレ相場におけるアメリカのハイテク株について語っている。
コロナとインフレにおけるハイテク株
ハイテク株は2020年のコロナ上昇相場の初期には、他の株が下がっているにもかかわらず先んじて上がり始めたコロナ相場の代表的な銘柄だった。
リモートワークや巣ごもり需要でコロナでも利益が上げられると考えられたからである。
だが一方、Nasdaqは今年に入ってから逆風に吹かれている。ハイテク株は今後の成長を見込んで投資されるグロース株が多く、インフレ期待とは将来入ってくるキャッシュの価値が下がると見込まれることだからである。
よってNasdaqとインフレは非常に相性が悪い。ガンドラック氏はこう述べている。
Nasdaqはここのところずっと値動きが激しい。去年9月までの上昇相場は、まるで1999年後半の上げ相場のようだった。
ドットコムバブル崩壊
1999年の後半とは当時、インターネット隆盛期のドットコムバブルの最終局面である。AppleやMicrosoftなどの実ある企業の株が買われた一方、インターネット関連でなくともインターネット関連のような名前を付けた株ならば中身を見ずに買われた。
その暴落前夜である1999年後半頃にはNasdaq指数は短期間で倍近くまで上がった後、高値の3分の1まで下落していった。
ガンドラック氏はこのバブル崩壊前夜の上げ相場が去年までのNasdaqの値動きに似ていると言うのである。
現在のNasdaqのチャートを並べてみよう。
コロナ相場の底から考えると倍に上がっている。
ハイテク株の不調
だが今年のNasdaqのパフォーマンスは悪い。最近のタイムリーなニュースはNetflixの暴落だろう。契約者数がマイナス成長となり、株価は去年の3分の1まで落ちている。
まさにドットコムバブル崩壊である。
だがこれはNetflixの個別要因だろうか? このNetflixの下落は、インフレで生活が苦しくなったアメリカ人が娯楽への出費から先に削っている様子を物語っているのではないか?
個別株を考えることはマクロのためにもなるのである。
残念なのは、ハイテク株には優れた銘柄もあるということである。例えばハイテク株の多くを去年で手仕舞いしたスタンレー・ドラッケンミラー氏だが、Google親会社であるAphabetは残している。
AlphabetやAmazon.comはクラウドサービスの成長率を考えれば優れた銘柄なのだが、インフレ相場では苦戦せざるを得ない。Alphabetのチャートは以下の通りである。
Amazon.comは次のように推移している。
結論
ハイテク株の中には安くなってくると買いたくなる衝動に駆られる銘柄もなくはない。実際、ハイテク株は更に安くなるだろう。やはりグロース株にインフレは大敵である。
だがこのインフレのサイクルが終わるまでは我慢した方が良いだろう。何処かで買いに入るタイミングもあるはずである。だがそれはまだまだ遠い未来のことだろう。下げ相場はこれからである。