もうタイトルだけで面白い組み合わせである。ロシアのプーチン大統領が、米大統領選の有力候補の一人とされているドナルド・トランプ氏を絶賛した。
フランス通信社によれば、プーチン大統領はトランプ氏を「非常に傑出した人物で、才能があることは疑いようがない」「彼の人徳を評価するのはわれわれではなく米国の有権者だが、彼こそが大統領選の絶対的な立役者だ」と絶賛した。
これはトランプ氏の対ロシア政策が従来の米国のものと異なっていることをプーチン氏が評価したものだろう。「トランプ氏は(米露の二国間)関係をこれまでとは異なるレベルに引き上げ、ロシアとより緊密で深い関係を目指すと言っている。それをわれわれが歓迎しないはずがあろうか? もちろん歓迎する」とも述べており、トランプ氏の対ロ姿勢を評価した。
トランプ氏はこれに対し、ニュース番組に出演して「世間から優秀だと言われることはいつだっていいことだ。それがロシアを率いる人物であればなおさらだ」(フランス通信社)と述べ、更にプーチン大統領の政治家やジャーナリストへの迫害、他国への侵攻などについて問われると「彼は国を動かしており、この国で私たちが擁している人物とは違い、少なくとも彼は指導者だ。わが国でも人はたくさん殺していると思う。世界でも今、愚行は横行している。多くの殺害が行われている」と彼を擁護した。
トランプ氏の対シリア政策
現在アメリカとロシアの利害が対立している地域のうち、もっとも重要なものはシリアである。そして偶然なのかそうでないのかは分からないが、トランプ氏の対シリア政策は実はプーチン大統領のシリアに対する考えと非常に似ている。
口を開けば馬鹿げたことばかり言っているトランプ氏だが、外交政策に関してだけ言えば彼の立場はむしろ穏健派であり、「世界の警察」を自称してこれまで諸外国に積極的に軍事介入してきたアメリカの政治的態度を批判するものである。
Sputnikによれば、トランプ氏は「イラクのフセイン大統領やリビアのカダフィ大佐が打倒されていなければ、中東情勢はより安定していただろう」との見方を表明している。これはアメリカの政治家の口から出る言葉としては衝撃的である。
一方で、「もしロシアがISIS(イスラム国)を攻撃したいなら、私はそれで構わない」(CNN)とも述べ、ロシアがISISを駆逐してくれるならば米国は馬鹿げた軍事介入をせずともよいという態度を示した。以前報じたように、プーチン氏も米国の中東への介入を批判していたから、彼らが合意するのも不思議はないのである。