何という腰の引けた発言だろうか。正直かなり驚いた。サプライズを得意とする黒田総裁の真骨頂は健在のようである。
ロイターによれば、日銀の黒田総裁はNHKのインタビューに答え、追加緩和について「バズーカと呼ぶかどうかは別として、必要があれば十分な追加緩和はいつでもできる」と述べたという。
日銀は2015年12月、長期国債買い入れの平均残存期間拡大などの政策調整を行い、市場がこれを調整ではなく貧弱な追加緩和だと受け取ったことで市場が急落した経緯がある。
薄れゆく中央銀行への信頼
12月にはECB(欧州中央銀行)も追加利下げと量的緩和期間の延長などを行い、これを市場が不十分だと判断したことでユーロドルが急騰した。
投資家の中央銀行への不信が募るなかで、黒田総裁自身が「追加緩和はバズーカと呼べるほど大したものではない」と表明したわけである。これは追加緩和前に市場の期待を下げておいて、緩和時には市場を驚かそうとする彼の策略ではないかと疑ってしまうくらいだが、ただでさえ量的緩和の効果が揺らいでいるなかで、その信任を下げるような発言は致命的になる可能性がある。中央銀行の失策がブラックマンデーを招いたことを思い出したい。
ちなみに年始来の株安でドル円も下落しているが、これまで述べた通り、ドル高の陰りと円安の逆流を分けて考える必要がある。
為替に限らず2016年の投資戦略についてはもう書いてあるので、他の記事も参考にしてほしい。株の動きも予想通りである。