Janus Capital (NYSE:JNS; Google Finance)のTwitterアカウントにて、著名債券投資家のビル・グロス氏が市場に関する新たなコメントをしているので紹介したい。
先ずは原油価格についての予想である。
1ガロンの水よりも1ガロンの原油のほうが安い。水を買うな。原油の日が来る。
面白いことに、ジム・ロジャーズ氏に続いてビル・グロス氏も原油反発を予想した。ジム・ロジャーズ氏の記事は以下の通りである。
ジム・ロジャーズ氏は近々の反発を予想しているようだが、グロス氏は時期についてのコメントはしていない。また、わたしの予想は、原油価格は反発するがまだ時間がかかる、というものである。米国シェールオイル企業の決算によれば、産出量の多い企業の資金にはまだ余裕があるように思われる。
もう一つの興味深いコメントは、Fed(連邦準備制度)の金融政策に関するものである。
イエレン議長のFedは時代遅れの新古典派ケインジアン経済学に基づいている。彼らは原油価格や為替相場など短期的で非恒久的な要素ばかり重視し、わたしやサマーズ氏や他の学者が重視する負債や人口動態やグローバル化などの構造要因を軽視する。
新古典派ケインジアン経済学という言葉の定義はよく分からないが(新ケインズ派の誤りか?)、ローレンス・サマーズ氏への言及から考えるに、彼は恐らく流動性の罠という金利をゼロ以下にできない状況に対応できない既存の経済学を皮肉っているのだろう。
先進国の経済成長が徐々に下降してゆくにつれて、金利も徐々に下がってきた。潜在成長率に近似する均衡実質金利と実際の実質金利を合わせるように名目金利を操作するというのがバーナンキ氏の語ったFedの目的であるが、潜在成長率がマイナスの状況にあれば、金利は潜在成長率と乖離してしまう。経済学者たちの間ではこの解決が主要な論題となっている。
例えば、潜在成長率に合わせて金利をマイナスにしてしまえば、預金者は銀行口座にお金を預けなくなるインセンティブが発生してしまう。これには紙幣の廃止、完全電子化などシステム的な解決策が必要となり、学者の間でも結論はまだ出ていない。因みに紙幣が廃止されても、投資家は金を買うだけである。
また、低金利のもう一つの問題は投機バブルの発生であり、グロス氏が懸念するのはこちらの方だろう。彼はこう続ける。
運が良ければ、イエレン氏はこれから数年謝らずに済むかもしれない。もしかしたら私が間違いだったと謝らなければならなくなるかもしれない? 否、そのような考えは捨てるべきだ。
イエレン氏が市場に謝らなければならなくなるときどうなるのか? 金が暴騰するのである。これから起こるシナリオについて、優れた投資家はもう何年も意見を変えていない。何が起こるかは分かっている。投資家にとっての問題は、投資のタイミングだけなのである。