DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏がCNBCのインタビューでFed(連邦準備制度)の利上げ開始について語っている。
アメリカの利上げ開始
Fedは3月のFOMC会合でコロナ後初めての利上げを表明した。
ガンドラック氏は以前からFedは市場の今後の利上げ予想を反映する2年物国債の金利に合わせて利上げ方針を決めているだけだと批判しており、中央銀行の職員を全員解雇して2年物国債の金利で置き換えれば、インフレと労働力不足が両方解決すると冗談を言っていた。
そして今回のFOMCでの決定はガンドラック氏にどう映っただろうか? 彼は次のようにコメントしている。
2年物国債の金利が去年の最終四半期からどうなったかと言えば、1.75%上がった。
2年物国債の金利のチャートを掲載しよう。確かにそうなっている。
ガンドラック氏は次のように続ける。
そしてFedは今回何と言ったか? 1.75%利上げをすると言った。
ガンドラック氏はほとんど半笑いである。中央銀行の仕事とは何なのだろう。
利上げはインフレ抑制に十分か
これまでも書いているように1.75%の利上げはこれまで低金利に頼って上がってきた株式市場にはかなり厳しいものである。
しかし、問題は株式市場にとっては厳しい利上げでもインフレを抑制できるかどうかということである。
ガンドラック氏は賃金上昇率と政策金利を並べたチャートを持ち出し、Fedはかなり遅れていると主張する。
これまでFedは賃金上昇に従って利上げをしてきた。その記録は1985年まで遡ることができる。
しかし今回、賃金の上昇率は爆発的に加速しているのに、Fedがどれだけ遅れているかはチャートを見れば分かる。
チャートを見て分かるように賃金上昇は爆発的であるのに、政策金利の上昇は僅かに始まったばかりだ。これは同時に後でどれだけ大きな利上げを行わなければならないかを示唆している。
マクロ経済学の世界では賃金インフレは始まってしまえばなかなか止まらないことで知られている。企業にとって給料を上げることは容易だが、従業員を怒らせずに賃下げすることは容易ではないからである。
結論
インフレはますます酷くなるだろう。何度も言っているように、インフレ率が7.9%の状況で金利を2%前後に上げたところで、どう考えてもそれはむしろ緩和的な金融政策だからである。
また、ガンドラック氏は株式市場の今後についても語っているが、そちらは別の記事に纏めようと思う。他の著名投資家の意見も見ながら楽しみにしてもらいたい。