レイ・ダリオ氏、ジョージ・ソロス氏に続き、今度はスタンレー・ドラッケンミラー氏の米国株買いポジションを開示するForm 13Fである。
前回の記事で、インフレ懸念でハイテク株を利益確定したソロス氏に対し、ドラッケンミラー氏は真逆のポジションだと書いたが、ポジション全体を見直すとやはりドラッケンミラー氏も利益確定に動いていたので訂正したい。
ハイテク株に強気だったドラッケンミラー氏
開示されたのはドラッケンミラー氏の自己資金を運用するDuquesne Family Officeの9月末のポートフォリオである。
ドラッケンミラー氏は長らくハイテク株に強気だった。その理由はこれからデジタル化が進むということである。彼は以前次のように述べていた。
デジタル化への移行はまだ3、4イニング目だ。コロナのおかげで1イニング目から3、4イニング目までジャンプしたが、まだ9イニング目ではない。
しかし中央銀行が緩和縮小を考えるにつれてドラッケンミラー氏は株式に弱気になり、ポジションを縮小していた。
ドラッケンミラー氏の個別株選択
今回どうなったかと言えば、ポジションを増やした銘柄もあれば減らした銘柄もある。長らく最大ポジションだったMicrosoftはついに前回の4.1億ドルから2.2億ドルにほぼ半減となった。
恐らくインフレがそろそろ本格的になると読んだのだろうが、Microsoftはその後も上がっている。ドラッケンミラー氏は少々警戒しすぎただろうか。
他に減額の大きい銘柄はNetflixであり、0.9億ドルあったポジションはすべて手仕舞ってゼロとなっている。
こちらもその後上がっている。この他にはFacebookなども0.9億ドルから0.4億ドルに減額されている。
一方で増額されたのがまずGoogleの親会社のAlphabetで、2.2億ドルから3.1億ドルに大幅増額となっている。
更に旅行予約サイトのExpediaも8.3億ドルから15.0億ドルに増えている。ハイテクと経済再開に両賭けできる銘柄ということだろう。
これまで出てきた銘柄で現在のポジション金額が一番大きいのはAlphabetの3.1億ドルだが、実は最大ポジションは別にある。それは韓国のAmazon.comと言われるCoupangである。
ポジションは4.4億ドルから4.3億ドルと金額は減っているが、この銘柄は9月末までに大幅に下がっているので、株数で見れば50%近い買い増しとなっており、この銘柄がドラッケンミラー氏の主力であることが分かる。
Coupangは高い成長率を誇るものの利益は出ていない典型的なグロース銘柄として一旦は将来への懸念から売られているが、ドラッケンミラー氏の賭けがどうなるのか、楽しみに待ちたい。
結論
ということで、ドラッケンミラー氏のハイテク株への見方はまちまちなのだが、総合するとやはりインフレ懸念で利益確定に動いたということだろう。師であるソロス氏と同じスタンスとなる。
今後はインフレとアメリカの利上げが市場のテーマとなってくるだろう。著名投資家は引き始めているが、世間の投資家はそんな素振りは見せていない。筆者は淡々と中国経済のバブル崩壊を眺めている。読者はどうだろうか。