この記事はドイツの国民性について書いた少し前の記事のおまけである。
ウィーン出身のハリウッド俳優、クリストフ・ヴァルツ氏が、アメリカのテレビ番組でドイツ人とオーストリア人の国民性の違いについて語っている。日本人にはこういった国際的感覚と異文化理解が必要だと思うので翻訳しておきたい。
司会者:あなたはオーストリア出身ですよね?
ヴァルツ氏:そう、そうだ。
司会者:こう言うのも失礼ですけど、自分は他のアメリカ人同様、アメリカ以外の国について詳しくないので、自分はドイツについては何となく知っているのですが、その、ドイツ人とオーストリア人の文化的な違いについてはよく分からないので、わたしたちに教えてもらえますか?
ヴァルツ氏:ドイツ人とオーストリア人の違い、それは多分、例えを挙げるとすれば、戦艦と、そうだね、戦艦と、(しばし考えたのち)ワルツとの違いみたいなものじゃないかな。
司会者:戦艦とワルツ?
ヴァルツ氏:そう、だいたいそれくらいの違いがある。
司会者:本当に。
ヴァルツ氏:そう。
司会者:では、似ているとかそういう問題ではなくて、あの、例えばステレオタイプで、ドイツ人はユーモアが分からないという偏見がありますが、
ヴァルツ氏:それは偏見じゃない。
一同:(笑)
司会者:(笑いながら)100%事実と?
ヴァルツ氏:ええと、そうだな、彼らの言動はいつも直球だ。彼らにはメロディーとかリズムとか、そういったものがほとんどない。いつも直球、直進だ。
司会者:皮肉とか婉曲とか、そういうものがなくて、いつも言いたいことを直球で言うと。
ヴァルツ氏:遠慮とかオブラートに包むとか、そういうものがない。わたしなんかはほら、スライムみたいにオブラートに包まれている。
司会者:オーストリア人はユーモアを理解しますよね?
ヴァルツ氏:オーストリア人は人生をより住みやすいようにしようと努力をする。だから第一に、オーストリア人は礼儀正しい。第二に、それはわざとではない。
司会者:(笑)
ヴァルツ氏:意図してやっているわけではないんだ。その場の雰囲気とかコミュニケーションの流れとか、そういったものを汲み取りながら自然に形成されてゆく、酒でも一杯飲みながら円滑にやっていこうという、そういう気楽な態度なんだ。
司会者:分かります。アメリカ人も似たようなもので、とてもフレンドリーだけど意図してやっているわけじゃない。
ヴァルツ氏:その通り。他にも例えばアイルランドなんかはノーベル文学賞を9つ受賞している。9つだ。これは彼らの文化のなかにコミュニケーションに関する何かがあるということを意味している。その意味ではオーストリア人とドイツ人の違いは、イングランド人とアイルランド人の違いに非常に似ている。
戦艦とワルツというのは、直進するイメージのある戦艦と、直進せずにステップを踏みながら音楽に合わせて進んでゆくワルツとを比較しているのだろう。
混乱に見舞われているヨーロッパが今後どうなってゆくかを予測することは、ヨーロッパ諸国の国民性を理解していても難しいが、理解していなければもっと難しいものとなるだろう。文化的側面においても金融政策においても、2015年以降の相場は難しいものとなりそうである。