以前お伝えしたBloombergによるGuggenheim Partnersのスコット・マイナード氏のインタビューの続きである。今回は暗号通貨について語っている部分である。
株式が上昇すれば暗号通貨はどうなるか
前の記事でマイナード氏は、少し前まで不調だった株式市場の調整は終わったとして、株式市場に強気の姿勢を表明していた。
そしてそれは他の資産クラスにも影響を与えるという。マイナード氏は次のように続けている。
それは暗号通貨のような他の資産クラスにも波及してゆくと思う。
ここ数週間のビットコインの値動きを見てみると良い。割安だとは言えないが、空売りもお勧めできない。これから何ヶ月かで上昇する可能性があるからだ。
マイナード氏は株式がこのまま上昇するからには暗号通貨も同じようになるだろうと予想する。
しかし現実にはこの言い方は正確ではないかもしれない。何故ならば、ビットコインは株価以上に上がっているからである。
これを株価の上昇に引っ張られていると表現するのは正確ではないだろう。
ビットコインETF
最近のビットコイン上昇の理由の1つはアメリカでビットコインETFが上場したことである。マイナード氏はこの新たなETFについても論じている。
ビットコインをどうやって買うのか、保管のためのウォレットの使い方はどうか、ビットコインを安全に保管するにはどうすれば良いかなどが分からない機関投資家や個人投資家にとって、ETFのような商品は興味深い進展だ。
何故ならば、ビットコインは普通にウォレットに保管していては盗まれる可能性があるからだ。だから何処かに安全に保管する必要がある。それをやってくれる会社もあるが、ややこしすぎる。
ETFは株式だから、コンピュータに不慣れな投資家でもいつも株を買うのと同じ方法で買えるようになったというわけである。買い手が増える、つまり需要が増えるということは、価格が上がるということになる。
暗号通貨の長期展望
こうした状況から、マイナード氏はビットコインを割安ではないと言いながらも上昇を続けると予想している。インタビューではマイナード氏が過去に「ビットコインは40万ドル以上に上がる」と発言したことに言及し、今でもそう思うかと聞かれている。マイナード氏はこう答えている。
そう思う。
マイナード氏の長期的な暗号通貨への支持は揺らいでいないようだ。ちなみに当時は40万ドルから60万ドルがターゲットだと発言しており、その根拠については当時の記事を参考にしてほしい。この計算方法は大変面白い。
一方で、今回のインタビューでは次のように付け加えている。
何故そんなに暗号通貨に強気なのかとよく聞かれる。わたしは現在存在する暗号通貨の70%はゴミで、消えてなくなると思っている。
レイ・ダリオ氏の「現金はゴミ」発言を思い出させる発言である。
しかしマイナード氏はそれでも暗号通貨を否定しているわけではない。彼は次のように続ける。
問題は、インターネットバブルの時と同じだ。どの企業が生き残るだろうか? Amazon.comだろうか? それともpets.comだろうか?
pets.comとは2000年のインターネットバブルでハイテク大企業並みの評価額に祭り上げられたペット用品メーカーである。ハイテク大企業並みの評価額に祭り上げられた自動車メーカーのようなものである。
こうした銘柄はバブルが弾けるまでは春を謳歌し続けるが、バブルが弾けて潮が引くと誰が裸で泳いでいたかがはっきりすることになる。
それでもAmazon.comを当時の価格で買っていたとすれば安いものだっただろう。重要なのはどの銘柄を持っているかであり、暗号通貨も同じようになるとマイナード氏は言いたいのである。
ではマイナード氏の推す暗号通貨とは何か? 以前の発言では、マイナード氏はビットコインに次いで時価総額2位のイーサリウムを挙げている。
筆者はマイナード氏よりも早くイーサリウムを推し続けている。筆者の予想によれば、ビットコインはいずれpets.comのようになるだろう。レイ・ダリオ氏の意見も参考にしながらその理由を確認してほしい。